オトナの教養 週末の一冊

2018年11月29日

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本多カツヒロ (ほんだ・かつひろ)

ライター

1977年横浜生まれ。2009年よりフリーランスライターとして活動。政治、経済から社会問題まで幅広くカバーし、主に研究者や学者などのインタビュー記事を執筆。現在、日刊サイゾーなどに執筆中。ブログ:http://golazo-sala.cocolog-nifty.com/pinga/

――日本の小学校の場合、それに加えて担任の教師が英語の教授法を学んでいないという点もよく指摘されています。

久保田:そうですね。教員の質の問題もあります。小学校の先生方は英語の教授法を学んでいない、言うなれば英語教育に関しては素人ですから、力がつくのかは疑問ですね。

――ただ、ネイティブスピーカーのALT(外国語指導助手)が教えることもありますね。

久保田:ALTの先生方は、政府のJETプログラム(語学指導等を行う外国青年招致事業)で採用されています。しかし、このプログラムでは大学卒業をしていることが条件で、英語の教授法を学んでいることや教育学部を卒業している必要はありません。要するにネイティブスピーカーであるというだけです。

――2013年から高校では英語の授業は、英語で行うことを基本とする方針が実施されています。この方針についてはどうお考えですか?

久保田:生徒が英語での授業を理解しているのならば、英語で教えても構わないのではないでしょうか。ただし、生徒が理解していないのに、英語で教えることによってモチベーションが落ちることも考えられます。そうならないためには「理解可能なインプット」という概念があるのですが、生徒のレベルに応じ、噛み砕いて教えるなど教師の力量が非常に問われます。

 ただ、母語をまったく介さずに教えることは、応用言語学研究や近年の英語教育では支持されていません。

――それでは、どうしても幼い頃から英語を学ばせたいという保護者はどうすれば良いのでしょうか?

久保田:本当に語学力をつけさせたいのであればイマージョン教育が有効ですね。カナダでは、ケベック州ではフランス語が公用語で、その他の地域は英語圏です。たとえば、私が住むバンクーバーでは、英語話者の子どもをフランス語で教科を学ぶフレンチイマージョンの学校へ通わせることが盛んです。そこでは母語の英語も学びます。アメリカには、フランス語だけでなく、中国語、日本語のイマージョンスクールもあります。本当に子どもをバイリンガルに育てたいならば、それくらいの必要があります。

――読者の方のなかには英語を勉強しているけれども、なかなか身につかないと悩んでいる方もいると思うのですが、先生からメッセージはありますか?

久保田:英語が国際語であると仮定した場合、ネイティブスピーカー神話は、これからの国際社会にはそぐわない。ネイティブスピーカーと話すより、ノンネイティブスピーカーと話す機会のほうが断然多いと考えられます。ネイティブスピーカーのように話さなければいけないと思うとハードルが高いですが、ノンネイティブスピーカーと話すことを想定すればハードルは下がります。完璧ではなくても良いので、間違えても相手の理解度を考えながら、伝えようとすることが大事だと思います。

 英会話に興味がある人に限らず、企業や塾や予備校、保護者の方など教育に携わる人たちには、ぜひ本書を手にとっていただき、応用言語学の知見に触れていただければと思います。
 

  
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