世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年12月11日

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 現在、グローバルな貿易をめぐり、最も注目を集めているのは、トランプの米国の一国主義・保護主義的通商政策、中国による自国産業を優遇するためのルールを軽視した姿勢である。そうした中、WTOを改革して貿易に関する国際ルールをより効果的なものにしようとする動きも見逃せない。上記のWTO改革案は、その良い例である。これがターゲットとしているのは、中国であることは言うまでもない。罰則として加盟国としての権利を制限するような内容を含む、かなり厳しいものになっている。

 日米欧は、3極貿易大臣会合を継続的に開催しており、種々の規制、補助金、不透明な許認可制度、技術の強制移転などの「非市場志向」的な貿易慣行への反対、WTOを通じた紛争の解決の模索などで一致している。今回のWTO改革案の提案も、そうした流れの中にある。日米欧の枠組みは、国際的ルールに背を向けがちなトランプ政権の米国を巻き込むものであり、意義がある。ただし、WTO改革について3者が全ての面で一致しているわけではなく、2国間の貿易紛争を処理する上級パネルの委員の指名をめぐり米欧が対立し指名できない状態が続くなどしている。

 3極の枠組みで、WTO改革につき、利害が対立しない分野、すなわち対中国を念頭に置いた措置から手を付けて行くということになると思われる。これには、当然、中国の強い抵抗が予想され、予断は許されない。今後とも通商をめぐり、中国は大きな問題であり続ける。多面的な取り組みが求められる。

 なお、今回の提案には、日米欧の他、アルゼンチン、コスタリカ、それに台湾が提案者に加わっている。中国の外交圧力により外交空間における存在を圧迫され続けいている台湾が名を連ねている点にも、注目してよいであろう。

  
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