2024年11月22日(金)

Wedge REPORT

2018年12月12日

ベネズエラとリビアがリスク要因

Q OPEC加盟のベネズエラとリビアの政情が不安定化している影響は?

A ベネズエラは15年には240万バレルを生産していたが、いまは半分の120万バレルしか出ておらず、さらに減る恐れがある。またリビアは110万バレルと好調な生産になっているが、複数の政府が存在することに加え、地方部族による中央政府に対する抗議行動が激化する恐れも消えておらず、最近も油田が部族により占拠された結果、生産が停止したというニュースが伝えられており、生産量の大幅な減少も予想される。仮にこの2か国の生産が相当程度落ち込むことにより減産幅が当初見込みより拡大することになれば、石油需給引き締まり感が市場で強まることにより、トランプ大統領のOPEC諸国などに対する価格抑制要求にもかかわらず、一時的であれ60ドル台前半にまで跳ね上がるリスクもある。

Q 米国のシェールオイルの生産状況はどうか?

A シェールオイルの生産は増えてはいるが、米国のシェールオイルだけで原油の絶対的支配権は持っていない状況だ。原油価格が40ドル台では開発の意欲は減退するだろうが、50ドル台ならば新規の開発が進むだろう。いまテキサス州西部からニューメキシコ州にかけてのパーミアンのシェールオイルの開発が注目されている。現在消費地への原油輸送パイプラインなどインフラの問題があるが、これが解決に向かえば、米国全体でも原油の自給状態へと接近していくのではないか。

Q トランプ大統領は先の大統領選挙で石炭産業の復活を目指して支持を得たが、その後石炭産業は復活しているのか?

A 2008年前後以降シェールガスが増産された結果、米国の天然ガス価格が大幅に下落したことにより、石炭は価格競争力上劣勢に立つようになった。また、老朽化した石炭火力発電能力の削減が進んだこともあり、需要もこの数年減少傾向にある。そのような中で、一部の石炭企業は破たんしてつぶれて再編が起きている状況だ。大統領が描いたような石炭産業の復活にはなっていない。

Q 現段階で日本と取るべき政策は?

A 海外で自主開発の油田を増やし、供給源を中東の中で多様化しするとともに、中東以外の国でも増やすことが必要だ。原油、LNG(液化天然ガス)が米国から日本向けに輸出されるようになったが、まだ日本全体の消費量から見ると数%でしかない。不安定な中東情勢に備えて、エネルギー源を多様化することも重要だ。

  
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