2022年12月5日(月)

矢島里佳の「暮らしを豊かにする道具」

2019年3月8日

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矢島里佳 (やじま・りか)

株式会社和える 代表取締役

1988年東京都生まれ。職人と伝統の魅力に惹かれ、19歳の頃から全国を回り始め、大学時代に日本の伝統文化・産業の情報発信の仕事を始める。「日本の伝統を次世代につなぎたい」という想いから、大学4年時である2011年3月、株式会社和えるを創業、慶應義塾大学法学部政治学科卒業。2012年3月、幼少期から職人の手仕事に触れられる環境を創出すべく、 “0歳からの伝統ブランドaeru”を立ち上げ、日本全国の職人と共にオリジナル商品を生み出す。テレビ東京「ガイアの夜明け」にて特集される。日本の伝統や先人の智慧を、暮らしの中で活かしながら次世代につなぐために様々な事業を展開中。

日本製と中国製は何が違うのか……?

 職人さんに、何年修行すると茶筅を一人前に作れるようになるのか聞いたところ、15年はかかるとのこと。しかも、ベテランの職人さんでも1日に5つしか作れないという。にもかかわらず、一番スタンダードな茶筅は1つ3500円前後。や、安すぎるのではないかと心配になる……。しかしながら、100円均一ショップには350円で中国製の茶筅が売っているという。

 価格が10分の1である理由は、人件費のほかに、作り方の違いもあるようだ。例えば材料の作り方だけでも大きな違いがある。中国製の茶筅は白っぽく、日本製の茶筅は自然な竹の色味なのだが、中国製は漂白剤を使うので安くて白くなるそうだ。日本製は、冬に切り出された2~3年生の竹を油抜きして、冬期に天日干しをして、貯蔵したものを使う。いろんなところで違いが出てくるのだろう。

 買う側のことだけ考えれば、1円でも安い方が良いのかもしれないが、中長期的に考えると、作る側の方々が継続できる価格で買わないと、究極作り手がいなくなる。そうなると、どれだけお金を積んでも買えなくなる。そういうものがこれから多く出てくることを、私は確信している。

 今の自分のことだけを考えてしまうと、適切な価格を見失ってしまう。安いと思って買ったことが、将来の自分や、次世代の子どもたちに、実は非常に高いツケを回しているのかもしれない。ものを買うときこそ、想像力を豊かに持ちたいなぁと、日々感じるのだ。今の時代、買ってあげるという感覚ではなく、お譲りいただくという感覚でものを買うくらいの方がバランスが取れる気がしている。

(写真提供:筆者) 写真を拡大

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