2024年4月20日(土)

ビジネスパーソンのための「無理なく実践!食育講座」

2019年4月3日

食物繊維はスジスジ状の物とは限らない

食物繊維は植物性食品に多く含まれている。ただし、食物繊維は口当たりが悪かったり、なかなかかみ切れなかったりするので、料理の過程や食品加工の過程で取り除かれることが多い。ある意味では、食文化の発達は「食物繊維除去の歴史」といえるかもしれない。

玄米から食物繊維(ぬか層)を取り除いて白米にしたり、大豆から食物繊維(おから)を除去して豆腐にしたり、くだものを絞って食物繊維を除いたジュースにしたりなどは、その典型。いずれも、美味しく・柔らかく・簡単に飲食できるように工夫した結果である。

逆にいうと、食物繊維が豊富な料理は柔らかくはなく、食べるのに時間がかかり、美味しくない(美味しさは個人の好みだが)ことが多い。一般的に、昔の食べ物に比べて、現在の食べ物は栄養豊富で健康的である。惜しむらくは、食物繊維不足がいきすぎてしまった嫌いがあるので、意識的に摂取したい。

なお、食物繊維というとゴボウやタケノコなど「いかにもスジスジした物」を思い浮かべる人もあろうかと思うが、必ずしも線維状の物ばかりとは限らない。たとえば大豆やワカメなどはスジスジしてはないが、食物繊維を豊富に含んでいる。

手っ取り早くは「主食を変える」

厳密にいうと、食物繊維には「水溶性」の物と「不溶性(水不溶性)」の物があり、それぞれに、栄養的な働きも異なるといわれている。しかし、そういう細かいことは気にしないでいい。まずは食物繊維を多く含む食材である野菜類・豆類・いも類・海藻類・穀物類を積極的に食べよう。

とはいってもこれらの食材はチェーン店系の外食やコンビニ弁当などではなかなかお目にかからない。調理に手間がかかる割には価格に反映しにくく、売れゆきにつながらないためだ(前述した特徴=美味しさに欠ける・けっして柔らかくはない・食べやすくもない、を思い出してもらえればわかるだろう)。

もう1つ、これらの食材は、肉や魚と違って、「主菜=メインディッシュ」になりにくいこともある。となると、食物繊維不足にならないようにするコツは「副菜=小さなおかず」を食べるようにすること、になる。外食の際やコンビニでお弁当を購入する際は「小さなおかず」を追加したい。

そして最も手っ取り早くは「主食=ご飯やパンを精製しすぎてない物に変更する」という方法がある。ビジネスパーソンにはまずこの方法をお薦めしたい。具体的には、ご飯であれば、主食が白米ではなく、玄米や雑穀類が入ったおにぎりやお弁当、麦入りご飯の定食、などを選択したい。

主食がパンの場合には、白い食パンではなく、中まで茶色いパンを選ぶとよい。最近では、サンドイッチショップやハンバーガーショップでもパンの種類が選べるところを見かけるようになった。そういうお店を覚えておきたい。

(このように書くと「白い食品は健康に悪い」と拡大解釈する人があるが、そういうわけではないので、誤解しないでいただきたい)


  
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