2020東京への思い
スキーとテコンドーではまったく特性の異なる競技なので戸惑いはなかったのか。
「スキーとテコンドーは持久系と瞬発系という大きな違いがあります」
「また、スキーは一人でも山の中を走って練習することができますが、テコンドーは、たとえば蹴るにしても相手にミットを持ってもらわなければならないので、常に他の人と一緒に練習しなければなりませんから、自分だけの練習というのができません」
「それに男子の選手に蹴られると苦しくて痛いですし、辛いと思う練習が多くなりました。そんなときは雪山が恋しくなりますね」
「でも、最初の趣味の2年間があったので辛い練習が多くなっても楽しいという感覚を持ち続けていられるのだと思います」
現在は毎月1回1週間の強化合宿に参加し、年に3~4回の国際大会に出場する生活に変わった。
再びトップを目指すアスリートの道へと戻った。
「一度引退してスポーツから離れたからこそわかったのですが、改めてスポーツはいいなぁと思っています。このスポーツのすばらしさをたくさんの人たちに伝えていきたいと思っています」
「2020年東京大会はせっかく日本で開催されるのですから、自分が活躍することとテコンドーの会場をいっぱいにすることを目標にしたいですね」
「オリンピック、パラリンピックというのは海外の方や、子どもからお年寄、障害の有る方まで来られて、その方たちと一緒に作っていくものだと思っています。その中で何かのお役に立てればと思っています」
「そして2020年以降は、いろいろなものがバリアフリー化して、今までにないようなサービスが始まって、誰もが住みやすい街であり、誰もがスポーツをしやすい街になればいいなぁと思っています」
「みなさん、2020年東京大会はぜひテコンドーを見に来てください。会場は幕張メッセです」
1989年(平成元年)7月27日、山形県尾花沢市生まれ。先天性の左手指全欠損。小3から地元のスポーツ少年団でスキーを始め、距離、バイアスロン選手として04年からW杯参戦。パラリンピックには06年トリノ大会に日本選手団最年少の16歳で出場し、バイアスロンロング12・5キロで銅メダル、10年バンクーバー大会では距離クラシカルスプリントで銀メダルを獲得。W杯ではバイアスロンで06-07年シーズン総合優勝。14年ソチ大会で日本選手団の旗手を務め、大会後に引退。15年からパラテコンドーを始め、16、18年のアジアパラオープン、19年世界パラ銅メダル。164センチ、58キロ。
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