ケースバイケースにしてもリーグ優勝球団へ付与されるアドバンテージの勝利数をこれ以上、増やすことに変えてしまうとCSへの興味が一気に低下してしまう危険性もある――。そのように説く両リーグ12球団の関係者たちも少なくない。
ちなみにCSの開催は優勝争いだけでなく、出場権のかかるAクラス入りをかけた戦いにも注目が集まるため必然的に多くの試合がヒートアップする。リーグ優勝が決まってもAクラスの球団がすべて確定していなければCS出場権を争う戦いに焦点が当てられ、消化試合を大幅に減らす利点を生み出しているのだ。
ところが仮に独走優勝するチームがアドバンテージで2勝ないし、それ以上のプラスアルファの恩恵を授かれる条件に変わるとなれば、2位、3位のチームには〝どうせ下克上は無理だろう〟という諦めムードが漂って「CSを開催する意味がなくなり、盛り上がらなくなるのではないか」と懸念されているのである。
前出の球団幹部は苦笑いを浮かべ、こうも補足した。
CSというのは球団側のエゴから始まったもの
「あまり大きな声では言えないが…。はっきり言ってしまえば、CSというのは球団側のエゴから始まったもの。メジャーリーグのポストシーズンにならってスタートさせた形になってはいるが、そもそも球団数が圧倒的に違うのにそれは明らかな屁理屈だ。だから、こうやってどれだけ議論してもCSを理想的に開催できるプランはなかなか出て来ない。要はやらないのが一番いいが、始めてしまった以上はいまさら後には引けない。しかもいろいろ毎年のように外野から文句を言われながらも結果として、多くのファンの人たちから大きな支持を得ているのだからね。CSは球界にとって『パンドラの箱』だったのかもしれない」
CSはナンセンスな側面がある半面、日本球界の独特な〝究極の緊張感が漂う戦い〟として今後も定着し続けることだろう。より多くの利益を追求したい球団側にとっても重要な資金源だけに、勝負の行方において公平感が多少損なわれる点があっても目をつぶっていく方針は変わりそうもない。
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