中国に限った問題ではない
さて、本書に通底するメッセージとして「デジタル化、監視化の強化やそれによる社会的変化は、中国で孤立して起きている問題ではない。むしろ、そのように中国だけ“異質”な他社として扱うほうが危険」だということ。
「ブレグジット、トランプ大統領の登場などによって、『民主主義って機能しているの?』というイメージを中国人は持っています。人に任せるよりデータに任せたほうが良いのではないかという。日本にも民主主義が機能不全だと考えている人は増えているのではないでしょうか。だからといって、中国と同じになるのがいいとは思いませんが、民主主義をバージョンアップさせるためにも、中国がどう課題に取り組んでいるかを知ることは必要不可欠でしょう」(高口さん)
「中国をデカップリング(分離)するのではなく、デジタル社会化などの背景をわたしたちも共有している、という意識を持つことが重要です。『言論や信教の自由を弾圧する国とは一切付き合わない』という姿勢ではなく、問題を指摘しながら関係性は保っていく。もし、そこで関係性を絶ってしまえば、かつての『文革』のように国際社会の目が届かない分、より悲惨な状態になると思います」(梶谷さん)
新しいテクノロジーを猛烈なスピードで社会実装していく中国。この動きは引き続き注目していなかければならない問題であり、本書のアップデイト版が上梓される日も遠くはないはずだ。
現在発売中のWedge9月号では、日本の信用スコアについて中国の事例と比較しつつ検証した高口康 太氏の寄稿や以下の特集を組んでいます。全国の書店や駅売店、アマゾンなどでお買い求めいただけます。
■「看取り」クライシス 多死社会が待ち受ける現実
PART 1 「終末期」の理想と現実 ギャップは埋められるか
PART 2 医師不足で揺らぐ「終の棲家」 地域医療の切り札「総合医」は育つか
PART 3 今後急増する高齢者の孤独死 防ぐための手だてはあるのか
PART 4 高齢者を看取る外国人たち 人材難の介護業界に必要な整備とは
PART 5 山折哲雄氏インタビュー「死はいつからタブーになったのか?」 90歳を過ぎたら”死の規制緩和”を
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