2024年11月21日(木)

Wedge REPORT

2019年8月28日

自営業で生き残るためには、「代えのきかない人」になること

 「稼ぐ力」と言えば、資格試験合格後に独立を考える人がいますね。私もかつては、そのひとりでした。大手企業に勤務し、20代後半で退職し、社会保険労務士になりました。それで、一時期までは稼ぐことができました。しかし、今は時代が変わり、資格への需要の質、量が変わってきています。例えば、社会保険労務士の場合は国の社会保障制度の上に、ある意味でのっかっている資格とも言えます。

 最近は、年金のあり方にひずみが生じています。社会保険労務士の基盤が崩れつつあるのです。20年程前に比べると、需要が少なくなり、仕事は相対的に減っています。需要と供給のひずみは、ほかの資格においてもみられるので、「資格を取ること=稼ぐ力」とは言い切れないのではないでしょうか。中小企業から大企業に転職し、収入を増やすのも「稼ぐ力」なのかもしれませんが、私が相談を受けてきた範囲で言えば、こういう人は相当に少ない。大企業から中小企業に移るケースは時折、聞きますが。

 中小企業を辞めて、自営業としてスタートし、収入を増やすのも「稼ぐ力」と言えるのでしょうね。私が20代の頃から30年以上にわたり、自営業をしてきた経験で言えば、自営業をする人は創業当初はやぶれかぶれのケースが多いですよ。人生がうまくいかなくて、先のことをあまり考えずに始める。私も、そのひとりでした…(苦笑)。厳しい社会だから、なりふり構わずでないと生き残れないかもしれませんね。少なくとも、大企業でエリートコースを歩んでいるような人が自営業を志すケースは相当に少ないでしょう。

 私は20代の頃、人間関係処理や意志疎通があまり得意ではなかったのです。「ADHD(注意欠如、多動症、多動性障害)みたい」と周囲からよく言われていました。今も言われますよ。私の周囲にいる自営業者も、会社員のような人あたりの良さや柔らかさはあまりないのかもしれません。性格や気質でやや変わったところがあるような人が多いでしょうね。

 自営業者をしていくならば、何を糧に生きていくのかを常に考え続けないといけない。厳しい世界であることは、あらかじめ覚悟しておいたほうがいいでしょうね。自営業で生き残るためには、「代えのきかない人」になること。発注する側は様々な理由から、何かがあれば他の自営業者にすぐに変えます。私も無念な思いをしたことがあります。


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