先生には分からない、生徒の気持ちで問題を作ることが大切
もうひとつ紹介したいのが「YELLOW義塾」という取り組みだ。2年生の学年カラーである黄色にちなんで名づけられたという。
和学や本気学が学校から与えられた環境だとすれば、YELLOW義塾は真逆。各クラスのルーム長・副ルーム長で組織する「ルーム長会」や、各クラスから選ばれる「教科主任」と呼ばれる生徒たちが中心となって、テストの予想問題を作る。テスト期間になると昼休みにYELLOW義塾を開講し、集まった生徒が予想問題に取り組める。
2年6組の副ルーム長を務める坂本莉子さんは、ルーム長会の一員としてYELLOW義塾を運営している。予想問題を作り始めるのは出題範囲が分かるテストの3週間前から。「自分たちで問題を作るからこそ意味がある」と話してくれた。
「どれくらいの問題数なら集中してやれるかを考えて、みんなが『難しいよね』と話していた範囲を中心に問題を絞っています。先生には分からない、生徒の気持ちで問題を作ることが大切だと思っています」
テストが公正に運営されるよう、予想問題を作る際には先生からのアドバイスを一切受けない。
「問題を作って先生に見せたときに『これが予想問題か……。この範囲は本番では出さないようにしよう』なんて思われたら大変なので。先生が問題を見られるとしたら、配布前にコピーをお願いするときくらいです」
YELLOW義塾においては、先生は雑用係でしかないようだ。
しかし「問題を考える」ことは、「与えられた問題を解く」こと以上に難しいのではないかとも思える。自身の勉強に向き合わなければならず、ただでさえ忙しいはずのテスト期間に、YELLOW義塾を運営することは負担にならないのだろうか。
「最初は『ちょっと面倒くさいな』と感じていました。でも問題を作るために既存の問題集をいろいろと見て、考えているうちに、何よりも自分自身のためになっていると気づいたんです。『ここはこの前の授業で出た!』と思い出して、問題を作りながら復習をしている感じです。今は、この役割があることをラッキーだと思っています」
坂本さんは「みんなで成績を上げていくためには、問題作りにもいろいろな人が関わったほうがいい」と話す。実際に周囲の生徒を巻き込み、みんなで予想問題を作る取り組みを企画しているという。
みんなで変えていくのは、勉強だけではない。最近ではテレビの番組名にちなんだ「ヒルナゴデス」という場所も生まれた。テスト期間以外の昼休みにみんなで集まり、一芸の披露やYouTube動画などを流して和んでもらうという取り組みだ。
「勉強だけではなく、学校をみんなで楽しんで、自然と集まりたくなるような場所にしていきたいです」