2024年6月22日(土)

Washington Files

2019年10月15日

ボルトン氏の「裁断」の正しさ

 実際に、第1回米朝首脳会談がシンガポールで開催された昨年6月以来、「非核化」協議における北朝鮮の姿勢を見る限り、ボルトン氏の「裁断」の正しさを立証している。すなわち北側は「朝鮮半島の非核化」を約束したものの、すでに保有している数十発とみられる核兵器については、具体的な廃棄どころか削減の方針さえ何ら示していない。

 さらに最近では、本格的な潜水艦発射ミサイル(SLBM)開発に成功するなど、逆に核兵器を含む戦力強化に乗り出してきている。その一方で、米側に対しては、「体制保証」や「平和条約締結」など、北側の一貫した要求は以前と何ら変わっていない。

 北朝鮮は最近では去る5日、ストックホルムで開催された米側との実務者協議においても「最終的に決裂した」として、協議を半日だけで打ち切った。今後の協議再開のめどは立っていない。

 今回の協議で何ら進展が得られなかったことについて、トランプ大統領は今のところ珍しく直接コメントを避けているが、依然として金正恩氏との第4回首脳会談に望みをつないでいると伝えられる。

 しかし、ボルトン氏が明らかにしたように、米政府の当局者たちのほとんどが、北朝鮮の「非核化」に悲観的な見方をしているとすれば、奇妙にも大統領だけが個人取引による“ビッグ・ディール”を依然として信じ込み、一人相撲を演じていることになる。

 大統領は今後、ウクライナ疑惑をめぐる米議会追及が厳しさを増していく中で、米国民の関心をそらすために北朝鮮問題で起死回生をねらう公算も大きく、それが逆に北朝鮮側に足元を見られ、理不尽な要求と妥協を迫られる結果にもなりかねない。

 まさに今、トランプ「個人外交」の限界が露呈しつつあるといえよう。

  
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