“熱視線”ラグビーW杯2019の楽しみ方

2019年10月27日

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ディフェンスでプレッシャーをかけ続けたイングランド(写真・志賀由佳) 

 10月26日ラグビーW杯準決勝が行われ「ニュージーランド7-19イングランド」で2003年以来2度目の優勝を目指すイングランドが決勝戦へ駒を進めた。

 イングランドといえば前日本代表ヘッドコーチ(HC)として日本のファンにはなじみ深いエディー・ジョーンズがHCを務める世界ランク2位のチームである。しかし、4年前の前回大会では開催国でありながら予選敗退という悪夢のような屈辱を味わっている。エディー・ジョーンズがHCに就任してからは、2年連続(2016,2017)シックスネーションズで優勝を果たし、ラグビー母国としてのプライドを取り戻した。

 対するニュージーランドはラグビーW杯史上初の3連覇を懸けて本大会に臨む世界ランク1位のチーム。両チームの通算成績はニュージーランドの33勝7敗1分でイングランドを圧倒している。エディー・ジョーンズHC率いるイングランドが再び頂点に立つためには、どうしても超えなければはならない巨大な壁だった。

 闘いは試合前から始まっていた。ニュージーランドの戦いの舞「ハカ」に対してイングランドは「V字」の隊列で真っ向から対峙したのだ。「ただ立っているだけで終わらせたくなかった。敬意を表する形にしたいと思っていた」と試合後にイングランド主将のオーウェン・ファレルは語っている。また、ハードなタックルで存在感を示し続けたフランカーのサム・アンダーヒルは「我々もしっかり準備ができていることを示す意味があった」と振り返った。

 試合は入りから目まぐるしく動き出した。イングランドがショートパスで攻め続け、開始から1分40秒でセンターのマヌ・ツイランギがニュージーランドのゴールラインを陥れた。まるでビデオの早回しのような同じ時間軸とは思えないアクションに対し、ニュージーランドは後手に回った。それはあっという間の出来事で、まさに「間」は「魔」となったのだ。

 王者たるニュージーランドは、ボールを保持していない間もおおよそ自分たちのペースで、自分たちのアクションの中で試合を運んでいることが多い。しかし、イングランドのアクションの前に攻め崩された形だ。トライの瞬間、スタジアムは沸騰したかのような歓声に沸いた。

 ハカに対抗する陣形といい衝撃的な試合の入りといい、周到に準備されたもののはずだ。機先を制し王者のメンタルに強烈な一撃を加えたのである。試合後、エディー・ジョーンズHCは「彼らはラグビーの神だ。その勢いを削がなければいけない」、「ニュージーランドの弱みを突いて我々の戦い方をした」と語っている。

 ニュージーランドの焦りは序盤に留まらなかった。16分にはラインアウトをスティールされ得点チャンスを逸し、30分のスクラムではコラプシング(反則)を取られて反撃の糸口が作れない。一方イングランドはオブストラクション(反則)によってトライが認められなかったシーンも含め、目に見える形で流れを掴んでいった。そして前半終了間際にPG(ペナルティゴール)で3点を加点し「10-0」で折り返した。

 「ハーフタイムでは最後の20分をクローズする15人の役割がいかに重要であるか、という話をしました。最初の20分よりも最後の20分、特にセットプレーが重要だと伝えました」(エディー・ジョーンズ)

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