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2019年11月9日

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出井康博 (いでい・やすひろ)

ジャーナリスト

1965年、岡山県に生まれる。ジャーナリスト。早稲田大学政治経済学部卒業。英字紙「ニッケイ・ウイークリー」記者、米国黒人問題専門のシンクタンク「政治経済研究ジョイント・センター」(ワシントンDC)客員研究員を経て、フリー。著書には、『移民クライシス 偽装留学生、奴隷労働の最前線』(角川新書)、『ルポ ニッポン絶望工場』(講談社+α新書)、『長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う』(新潮社)、『黒人に最も愛され、FBIに最も恐れられた日本人』(講談社+α文庫)などがある。

まさに「マッチポンプ」

 根本から問題を解決することは簡単だ。“偽装留学生”に対し、入管当局が入国時のビザ発給を拒めばよいのである。本来、留学ビザはアルバイトなしで日本での生活を送れる外国人に限って発給される。その原則に立ち返り、ビザ取得時に“偽装留学生”が提出する書類を精査する。親の年収や銀行預金残高の捏造など、入管行政のプロであれば見破ることは難しくない。

 ただし、それを実施すれば、留学生の受け入れは大幅に減るだろう。日本語学校の過半数は経営が行き詰まり、一部の専門学校や大学も経営面で大打撃を受ける。そんなことは政府が「留学生30万人計画」の旗を掲げる限り、起きはしない。だから入管庁も問題を十分に認識しながら、学校側に留学生の管理強化を求める程度しかできない。

 その陰で、留学生の違法就労への監視が厳しくなっている。入管当局は、留学生が「週28時間以内」のアルバイトでは日本で生活できないとわかって入国を認めてきた。そうして受け入れておきながら、実際に違法就労したからと母国へと追い返すというのは、まさに「マッチポンプ」に他ならない。

 そんなご都合主義が生んだ不幸の1つが、日本で食い物になったブータン人留学生たちの姿なのである。彼らはブータン政府が進める失業対策によって、「留学生」として日本へと売られた。詐欺同然の留学制度を進めた連中の罪は、やがてブータンで明らかになっていくだろう。一方で、彼らを買った日本側の責任が問われる日は来るのだろうか。

1回目『日本人が目を向けない「消えた留学生」の深層』
2回目『政府に売られた、「幸せの国」ブータンの若者たち』
3回目『日本語学校で横行する留学生「強制送還」の闇』
4回目『日本で地獄の日々を送った高学歴ブータン人青年』

  
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