Wedge REPORT

2019年12月5日

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 また、仮に教員がこれらの「業務」を手放せたとして、誰が代わりに行うのか。中教審は地域ボランティアの活用や外部業者への委託を推奨している。しかし、「清掃業務を外部委託したいが予算がない。また地方では委託先の業者もなかなか見つからない」と、ある中学校の女性教員は嘆く。

 もっとも教員の働き方改革が進まない原因には、教員自身の意識や職場風土の問題もあるようだ。今回、20人を超える現役教員の働き方を取材する中で、教員の高い献身性の反面、生産性意識の欠如やアナログな職場環境、時代錯誤の職場風土などさまざまな課題が浮かび上がってきた。

 「早く帰ると『楽をしている』と非難され、手間暇をかけるのが善、合理化して仕事を減らすのは悪、という風潮がある」「仕事は多いが、全てが『生徒のため』と思えば頑張れる」「とにかく紙文化。保護者との連絡物は全て紙で手渡し・回収し、授業の教材も模造紙で作る」「インターネットに接続されているパソコンが職員室に3台しかないため、50人の先生で奪い合っている」 この点について妹尾氏は、「文科省は教員数増や学習内容の精選などを進めるべきだが、一方で、学校の裁量で、業務の精選や効率化ができることも多い。例えば、学校や教育委員会も部活動や学校行事(運動会など)、宿題の採点・添削等に多大な時間をかけているのは、見つめ直すべきだ」と指摘する。

まずは業務の「見える化」を
横浜市の校長が挑む学校改革

(出所)横浜市教育委員会・中原淳研究室(2017) 「教員の働き方や意識に関する質問紙調査」を基にウェッジ作成
(注)横浜市立小中学校の教員521人の回答 写真を拡大

 このようにさまざまな要因が絡み合って生じている長時間労働だが、どこから改革を着手すればよいのか。

 「まずは学校内、先生間で完結できる仕事の見直しから。次に地域や保護者の協力を得て進められる見直しを。足元の改革をなさないまま、仕事を学校外に出そうとしても理解は得られない」と話すのは立教大学経営学部の中原淳教授だ。中原教授は13年から横浜市教育委員会との共同研究により公立学校の働き方改革に取り組む。17年には市内の小中学校の教員949人を対象にした実態調査を実施した。その結果得られた521人の回答から時間外に行われている多くの業務が見えてきた(右図)。こうして「見える化」された教師の業務実態を踏まえ、各学校が自分たちの働き方をデザインしていくことで「内部からの改革」を促すのが次のステップだ。

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