1月15日に発表されたファミリーイナダ「AI.Inada.Mirror IM-055(AI.イナダ.ミラー)」。それは、いろいろな意味で日本の家電メーカーの今後を暗示するように思えました。似たアイディアは、展示会などでも見ていますが、よもやファミリーイナバが、先頭を走る日が来るとは思いませんでした。8Kテレビ以降開発方向が定まらないテレビメーカーと、AIミラーでテレビを取り込んだマッサージチェア専用メーカーで何が違ったのでしょうか?
AI.Inada.Mirror IM-055 とは何か?
「ミラー(鏡)」と名が付けられていますが、実態は55インチの「液晶テレビ」です。それに小型カメラを付けて、自撮り。ディスプレイに映し出し、姿見として使えるようにしたわけです。
AIミラーは、テレビとしても使えるし、姿見としても使えるわけです。55インチはかなり大きいですから、姿見としてそれなりのサイズですし、4Kなのでリアリティは、かなりのものです。
次に「AI」です。ミラーには、ネット接続して使うアプリが入っています。「ファッション(バーチャル試着) 」「運動(ホームフィットネス) 」「美容」「健康」など、その人のパーソナルデーターに合わせAIが分析。最適解を出してくれます。
例えば、試着では、AIがお勧めを3つセレクトしてくれます。それを姿見で確認して本日の服を決めたり、購入したりでいます。店舗では既に使われている場合もありますが、民生用、そして自分の姿形で反映されるのは、多分初めてです。
テレビと、特殊なアプリを使う等身大のスマートホンを組み合わせた様なもの。それが、 AI.Inada.Mirror(以下 AIミラー)です。
なぜ、テレビメーカーに同じことができないのか?
こう書くと多くの人は「なぁんだ」と思われるかもしれません。しかし商品の多くはコロンブスの卵的な要素を持っています。今回のポイントの1つは、ミラーとテレビ双方使えるように、楽々、縦、横と方向を変えることができるスタンドです。
一日の中、ミラーとテレビ、どちらをよく使うのかというと、テレビです。このため、同様なことをする場合、テレビメーカーは、横置きテレビの中に、ミラーの機能をはめ込むということを考えます。ところが横置きだと姿見にならないのです。だからできないとなります。
その点、ファミリーイナダの設計は「姿見」から始まっています。縦置きが基本。テレビは横置きが基本。じゃぁ、専用スタンドで、縦、横に方向も変えられるようにしよう、というわけです。
テレビメーカーは、ユーザーはスタンドにお金をかけないと、言うでしょう。それはかける理由がないからです。デザインだけでは、そう簡単にお金を払っていただけません。でも、いろいろな展示会で、特殊スタンドを使い、テレビの格好良さを演出しているのも事実。いろいろ持っているのに、うまく商品までもっていけない。惜しいことです。
失敗ができない、低コストで厳しいのはよく分かりますが、今の日本メーカーは、既成の延長線上で、ちょっと高画質になったことを叫ぶばかり。新しい方向を切り開こうとしているメーカーは、まだ出ていません。
ちなみにこのスタンドは、8万5000円相当。半端でないことが分かります。