2022年12月8日(木)

家電口論

2020年1月26日

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多賀一晃 (たが・かずあき)

生活家電.com主宰

1961年生まれ。慶應義塾大学理工学部卒、同理工学研究科修了。大手メーカーにて商品開発・企画を担当後、独立。現在、商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。

独特の販売システム

 ファミリーイナダは今、「独自リース」という販売方法を取っています。今回の場合だと、月々3980円(税抜)で、5年払いです。一括払い購入はありません。総額を計算しますと、26万2680(税込)。これは分割払いで19万円前後のテレビを買ったのと同じです。

 ソニーの中上級モデル:X9500Gシリーズが、ほぼ同じ価格ですから、画質の良さの代わりに、前述の新しい魅力を入れたと考えるとちょうどイイと思います。10万円の日本の画像エンジンを導入したような画質のよい中国製液晶テレビに、8万5000円の高級スタンドとアプリが付いたと考えてもいいです。

 「30インチ以下でいいのですが、安くていろいろなことができるテレビってないですかね?」という質問を女性を中心にもらうことがあります。最近は、この質問に応えられるテレビが増えてきましたが、それでも少ない。理由は簡単。ほとんどの家電メーカーが、「テレビは大きい方がいい」という考えに基づき開発、販売をしたからです。

 日本メーカーが主役のブラウン管の時代、20インチ以上のテレビは1インチ=1万円。しかし、グローバル化された液晶テレビは、1インチ=2000〜5000円。これはデジタル化、グローバル化されたためです。昔、20インチ20万円が、50インチ10万円です。コスト的には赤字ではなくても、同じように売り上げるには倍売らなければなりません。

 日本市場で、倍のシェアがさっさととれるなら、日本メーカーのテレビ事業部も安泰なのですが、人口は減る、価格は下がる、シェアは伸びない。非常に厳しいわけです。結果、売れ筋サイズだけ残す感じです。昔のビデオテープが、結局120分が突出して売れたため、それだけ安価に売っていたようなものです。当時60分テープなどは、120分テープの倍くらいの価格でした。そうなると存在意味はありませんよね。それと同じです。

 ワンルームは狭いし、テレビも年々面白い番組が減っている。ところが小型テレビはやや高目の値付け。理論的には分かっても、頷けないところがあるわけです。

 しかし、今回は、テレビより設置の自由度が高く、しかも、女性の大好きな「美容」「健康」の特別プログラムが付いて、月々4000円強。中々面白い着眼点と言えます。

真の黒船は異業種から

 これを「テレビ+α」と評価するか、「AIミラー+テレビ」と評価するのかは、意見が分かれると思います。が、テレビメーカーができなかったことをファミリーイナダがしたのは事実です。

 これは、テレビメーカーが「テレビ」という商品枠を真に壊すことができなかったからだと思います。まぁ。もともとテレビはテレビ受像機の略ですから、「能動じゃないもん。」と言われれば、その通りです。

 今、いろいろなモノが、中国に主導権を取られています。が、確かに中国は、安く、それなりに質も上げてきました。が、新しい提案はまだまだありません。オリジナルの発想がないのです。となると、やはり異業種の方が、主客転倒であり、極めて斬新と言えます。今年は、とりあえず8K対応で日本メーカーは手一杯ですが、その後、何をするのでしょうか?

 ファミリーイナダの場合は、決まっていますね。8K化です。姿見の場合、4Kより8Kの方がいいです。4Kは走査線がギリギリ見えるのですが、8Kは全く見えない。本当にリアルだからです。当然ファミリーイナダも、それは承知しており、担当者に伺ったところ、乗り換え相談なども、丁寧に行い、ユーザーを裏切るようなことはしませんとの回答。また、支払いが続く5年間の間の、プログラムのアップデート保証も含まれています。

 実は、使いたい次世代テレビを作るのは、今のテレビメーカーでないのかも知れません。そうでなければ、新しい技術を開発しても、買い替え需要をだけ。そうすると、日本メーカーは行き先を失います。

  
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