海野素央の Love Trumps Hate

2020年2月10日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

「ティーパーティー」と「トランプ党」の類似点

 米下院本会議で昨年12月18日、トランプ大統領の弾劾条項2項目が賛成多数で可決されました。その際、賛成に回った共和党下院議員は皆無でした。一方、1月5日の上院での弾劾裁判における採決では、共和党からの造反者はミット・ロムニー氏(西部ユタ州)のみでした。

 トランプ大統領は早速、自身のツイッターに「ずるくて、口のうまいこそこそしたロムニー」という映像を投稿して、人格攻撃に出ました。

 モルモン教徒のロムニー上院議員は、「トランプ有罪」に投じた理由に、信仰心を挙げました。ウクライナ疑惑に関するトランプ氏の言動は、「米国民の信頼を損ねたと判断した」とモラルに訴えました。

 ただ、ロムニー上院議員が有罪に投じた理由は、本当にそれだけでしょうか。

 ロムニー氏は、トランプ大統領に反旗を翻しても、次の選挙で落選する可能性が低いというのも理由です。周知の通り、ユタ州ではモルモン教徒が多数派だからです。あるいは、ロムニー氏は再選を狙わないかもしれません。

 これに対して、他の共和党議員は同党における支持率が84%(ロイター通信/イプソス共同世論調査)もあるトランプ大統領に挑戦すれば、再選に不利になると計算しているのでしょう。

 熱狂的なトランプ支持者は、10年米中間選挙で旋風を引き起こした保守系の市民運動「ティーパーティー」の支持者と重なるところがあります。当時、共和党議員は、ティーパーティーの支持者の標的になるのを恐れていました。

 というのは、彼らには現職議員を打ち落とす力があったからです。そこで12年米大統領選挙において、共和党候補であったロムニー氏はティーパーティーの支持者の声に耳を傾けて、彼らにかなり配慮していました。

 トランプ大統領に逆らった共和党議員は、同大統領からツイッターで集中砲火を浴びることは明白です。選挙区のトランプ信者からも報復を受け、再選が危うくなります。

 10年中間選挙で共和党は、ティーパーティーに乗っ取られました。今回の弾劾裁判における共和党議員の投票行動をみると、トランプ政権発足3年後で、共和党はほぼ完璧に「トランプ党」になったことが分かります。

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