WEDGE REPORT

2020年5月8日

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強力な医療体制比べると疫学に弱い日本

 日本の対策を外から見てどう思うのか。「医学と言う意味では、日本は研究体制も医療体制も強力なのは間違いありません。ただ、それと比較すると疫学は強くはないと言えるでしょう。疫学は公衆衛生にとってとても重要なので、今後、感染症対策に必要なプログラムなどを充実していけばいいと思います」と指摘した。

 「新しい感染症が出てくるとみなさん驚きますが、人類の歴史は感染症と常に戦ってきました。また、いつか新しい感染症が出てもおかしくないのです。1つ言えるのは、最近の感染症は毒性が強くなっています。インフルエンザでさえそうです。今回のパンデミックは世界中の人々に良い教訓になったと思いたいです」

 希望的な言い方をするにはわけがある。「人口が増え、開発が進み、森の奥深くに住んでいるような動物と接触する機会が増えたため、これまで人類が経験してこなかった新しいウイルスに感染する事になりました。しかも開発は地球温暖化とも結びついています。また、感染症では国際協調が重要ですが、米中の対立に象徴されるように分断化が進んでいます。感染症対策と言う意味で複雑な要素が増えて大変です」

 一方で「これまで新しく知り得た病気の情報に対して、科学者や医者は公開しないことがありましたが、今は医学界みんなで情報をシェアしようとしています。政府レベルでは分断ですが、医療レベルでは協調が進んでいることは良いことだと思います」と、草の根レベルでは協調が進んでいる明るい話題を示してくれた。

 福田院長と話していると、初動の速さと迷いのない決断が重要であることを感じさせられた。しかも、対策実施後もスピードを全く緩めない。この記事の中に学校の再開のことを書いたが、それも執筆中に情報が入ってきたからだ。新しい対策がどんどん打たれていく。

 チャールズ・ダーウィンの『進化論』が正しいとするならば、変化に対応できたものが生き残る。福田院長は状況の変化について適切に見極めて対応していったという事だろう。ラーメンやカレー、自動車でもいいが、日本人はアレンジが得意な民族だ。ならば香港のやり方を参考に日本のやり方にアレンジして対策をすれば、出口戦略を早く打てることだろう。

  
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