使えない上司・使えない部下

2020年6月13日

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上司は「職場環境整備業」であるべき

大津章敬さん

 多様な人材がいない職場は、パワーハラスメント(以降、パワハラ)が起こる可能性が高くなるとも思います。中小企業よりは人事評価が客観的と思える大企業でも、起こりうるでしょう。むしろ、大企業のほうが、管理職や社員(一般職)がデキナイ人や異質な人に強く当たり、深刻になる傾向があると私は見ています。大企業の人材は中小企業に比べてレベルが総じて高いために、仕事の成果や実績に差がつきやすい一面があるからだと思います。

 パワハラの研修や講演をすると、質問を受けることがあります。多いのは、パワハラのラインです。つまり、何を持ってパワハラと呼ぶのかといった判断基準を知りたいのだろうと思います。厚生労働省が定めた言わば、最低限のガイドラインは確かにありますが、日々の仕事において詳細な基準は存在しないのです。たとえば、上司で言えば、部下との関係性によって接し方を変えていくしかないのだと思います。これは、私も気をつけているところです。

 私には、「師匠」と呼べる上司がいました。30代前半の頃、「今後、人事コンサルタントの道を極めるならば、外資系のコンサルティングファームに移ったほうがチャンスは増える。お前ならば、できる!」と言ってくれたのです。それよりも10年ほど前から、その上司のもと、マンツーマン指導を受けていました。育て上げた部下を手放してでも、私の将来のことを考えていてくれたのだと思うと、うれしくなりました。「この人を裏切れない」と、その後も現在の会社に残り、懸命に人事コンサルティングに取り組むようになりました。

 4年前、上司は役員を退任し、その後を受け継ぐ形で私が就任しました。上司は今、相談役として勤務していますが、私に役員の仕事について何かの意見を言うことはありません。本当は、言いたいことがあるのかもしれませんね。その意味で、私よりははるかに懐の深い人です。そのような思いを持ち、部下たちと接するようにしています。自分に問題がある場合は、素直に謝るようにもしています。私は、部下のありがたい行動などにとっさにお礼や感謝が言えない時があり、誤解を招いてしまう場合があるのです。ふだんから、気をつけるようにしています。

 上司は、「職場環境整備業」であるべきです。部下が働きやすい環境の調整をする一方で、部下の仕事の問題などの責任を取ることが求められます。私も、そうありたいといつも思っています。

●名南コンサルティングネットワーク

  
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