香港政府は、3月19日から実施している外国から来る香港居民を対象にした14日間の強制隔離を9月18日まで延長し、3月25日から行っている外国人の入境禁止は継続している。香港は一種の鎖国状態ではあるが、筆者は幸い永久居民であるため出入りは自由だ。実際に、香港到着後の強制隔離がどのようなプロセスで行われているのか実体験からリポートする。
香港到着後に待ち受ける複数のチェックポイント
香港国際空港に到着すると、各種手続きを行った後、亜洲国際博覧館に移動して感染の有無を検査される。陰性であればそのまま政府施設、ホテル、自宅の3カ所のいずれかで14日間の検疫を行うことになる。
飛行機から降りてしばらく歩くと職員が待っていて、香港に向かう飛行機内で渡された「強制検疫令」の紙の記入事項に漏れがないかを確認される。紙には14日間の検疫場所の詳細な住所を書かないといけない。筆者はあえて公営住宅を希望したが、「永久居民のステータスでも公営住宅には入れません」と職員に言われ、「なぜ?」と聞き返すと、彼女はうまく説明できず、別の職員がやってきて、「香港生まれの人でなければダメ。ホテルなら今夜から14日分を予約してください」と言われてしまった。
そこで、職員が提示したリストをもとに電話でホテルを予約することにした。最初は念のため事前に調べていたホテルに電話したが、電話越しでは調べていた価格の2倍の8000香港ドル(約11万円)と言われ、一旦保留した。次に電話したホテルは検疫枠の部屋が満室で断られた。そして、3カ所目に電話したホテルは2017年にできたばかりのところだったが、3780香港ドル(約5万2000円)で隔離パッケージやっているとのことで、即そこに決めた。
ホテルが決まった後、次のチェックポイントまで進むと、香港政府が開発した「居安抗疫(Stay Home Safe)」という強制検疫用アプリをスマホにインストールさせられた。その後、QRコード付きのリストバンドを着けられ、申請した携帯番号に嘘がないかの確認をされ、職員から言われた専用パスワードをスマホに入れてアプリをアクティブ化した。そして最終チェックポイントで、書類の最終確認を行い、各種書類と体温計が入った封筒と首にかけるストラップが渡された。そして、「今夜はあなたが予約したホテルではなく、富豪東方酒店(Regal Oriental Hotel)で一晩過ごさなければならない」と告げられた。最初のチェックポイントの職員と言っていることが違うのだが……。
完璧な防疫装備の政府指定ホテル
最終チェックポイントを過ぎると、手荷物検査場を抜けて、亜洲国際博覧館に向かうシャトルバスに乗った。乗客は20人ほどだ。日本人の私、西洋人の男性1人、香港人夫婦1組、残りは、お手伝いさんとして来港したフィリピン人とインドネシア人女性だった。
同博覧館に到着後、中に入るとソーシャルディスタンシングを守って並ぶ。順番が来て、所定の座席に着くと、防護服、フェイスシールド、マスクという完全防護の職員から感染の有無を判断する検査キットを受け取り、説明を受け、検査キットの使い方のビデオを観させられた。