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田部康喜のTV読本

2020年10月8日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

黒木が抱える父親との秘密

 第4回(10月2日)に至って、隆一(山田)は黒木(田中)の破天荒な捜査手法を学んで、自分も危ない推理に賭けるようになった。

 文部科学省のキャリアである、橘美咲(奥貫薫)は、娘の望美(蒔田彩珠・まきたあじゅ)を自家用車に乗せて奥多摩をドライブ中に口論となって、山中で下したところ、帰ってこないというのである。望美は1カ月ほど前から不登校になっていた。

 望美の同級生たちから事情を聴きだそうと、学生服に身を包んだ隆一とセーラー服姿の彩乃は、望美がいじめによって、同級生を自殺に追い詰めたという事情を探り出す。自殺のあとに担任がアンケートをとったところ、全員が望美をいじめの張本人だと答えたというのである。彩乃の諦めない調べによって、逆に望美は自殺した女子高生をかばっていたことから、いじめグループが裏工作してクラスメイトに望美の名前を書かせたことがわかる。

 隆一(山田)が考えついた「賭け」は、母親の美咲を事情聴取するために任意同行する作戦だった。メディアは美咲を望美殺しの容疑者と報道した。これに望美が反応して行動を起こす可能性がある。予想通りに、望美は110番してきて、自分が無事であることと母親の容疑は間違っていることを告げた。

 望美は、未成年誘拐の前歴を持ち、自殺願望のある人間を殺す容疑者に軟禁されていた。自分がいじめで同級生を自殺に追い込んだのではないことを、母親の美咲がわかってくれないことから、「裏アド」に自殺願望を書き込んでいた。

 隆一と黒木は、望美がまさに容疑者に首つり自殺を装って殺される寸前に、廃ビルの高層階にたどり着き、容疑者を逮捕する。しかし、望美は窓際に駆け寄って「これ以上近づいたら、ここから飛び降りる」という。

隆一 君はいじめていない。お母さんに伝えてある。

望美 いまさら遅いよ。お母さんは信じてくれると思った。お母さんだけが信じてくれればよかったんだ。

黒木 甘ったれるな。母親に真剣に伝えたのか。親なんて、完璧じゃない。子どものことを全部把握しているわけじゃない。苦しんで、考えた末に、頭を下げたんだろ。お前のことを命がけで守ろうとしている。

隆一 望美さんもわかっているよね。(お母さんを)連行したのは、君を探すためだよ。

 望美は、隆一が差し出した左手にすがって、窓枠から降りて、床に泣き崩れた。

 黒木は、父親の神崎賢造(椎名)との関係で秘密を抱えている。22年前に起きた「池袋ファミレス立てこもり事件」である。犯人の井原達也(高橋努)は警察官に射殺される。フラッシュバックする、黒木の記憶のなかでは、神崎が発砲している。そして、少年だった黒木が現場にいたのだった。

  
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