切迫する選挙人認定の期限
トランプ氏は仮にミシガン州で、州議会による選挙人選出という新たな道を見出せば、次は東部ペンシルベニア州(同20)でも多数派の共和党議会に同じプロセスを要求することになるだろう。だが、各州別の選挙人認定の期限が迫っており、同氏の戦略は時間との戦いでもある。
特に同氏にとって痛かったのは、南部のジョージア州(同16)が19日、手作業による再集計の結果を発表し、バイデン氏の勝利をあらためて確認したことだ。バイデン氏は再集計で1200票以上、得票を減らしたものの、トランプ氏に1万2300票程の差を付けて制した。集計の責任者である州務長官は共和党員だが、トランプ氏の圧力に屈せず、あくまでも公正な再集計に徹した。
米メディアによると、激戦州の選挙人の認定期限はジョージア州が11月20日。最終的にはケンプ知事(共和党)が署名して選挙人16人を認定する。トランプ氏は同知事に「共和党は不屈であれ」と呼び掛け、認定を遅らせるよう要求した。しかし、認定阻止を求めた訴えは連邦判事によって既に退けられており、知事が認定を遅らせる可能性は小さいようだ。
トランプ氏が州議会による選挙人選出に期待を寄せるミシガン州の認定期限は同23日。ペンシルべニア州の認定期限も同じく23日だ。西部アリゾナ州の認定期限は同30日。既に認定期限の延期を求めたトランプ陣営の提訴は棄却されている。
中西部ウィスコンシン州、西部ネバダ州の認定期限は12月1日。各州知事は選挙人の認定結果をその氏名とともに同8日に連邦議会に送る。認定された選挙人は同14日、大統領を正式に選出するため投票、来年1月6日に連邦議会が開票し、新大統領の当選が確定する運びだ。
トランプ陣営が提訴と州議会を使って勝敗の結果を引き延ばし、1月6日までに結果が確定しないと判断されれば、憲法12条の規定により、下院での選挙に持ち込まれるが、外堀が埋まる中でトランプ氏がここまで粘れるかは微妙。民主党側が逆に政権移行を故意に妨害しているとして訴えるかもしれない。バイデン氏はトランプ氏が政権移行を拒否していることについて「信じられないほど無責任」と非難している。
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