2024年11月22日(金)

ザ・移動革命

2020年12月24日

カーボンニュートラル・DX・コロナ対策を組み合わせた取り組みが必要ではないか?

 ここまでご紹介したように、海外の主要都市ではカーボンニュートラル、デジタル化(DX)、コロナ対策のいずれにおいても乗り物(モビリティ)、道路空間、交通管理の全てを組み合わせた形でのリ・デザインが行われている。

 詳しくは別の機会にご紹介するが、このリ・デザインを戦略的に行う取り組みは今回ご紹介した都市だけでなく、パリ、ロンドン、ミラノ、シアトルなど数えきれないほど多くの都市で行われている。

 一方、来年オリンピックを迎える東京、5年後に万博を行う大阪を含め、日本の主要都市で海外のような都市のリ・デザインを行う取り組みが行われている話はあまり耳にしない。その要因として、日本では車両・道路・交通が別々の主体によって管理されていることが挙げられる。車両は国土交通省、道路は種別によって国・都道府県・市町村、交通は各都道府県の警察によって管理されているからだ。

 しかし、2050年にカーボンニュートラルを目指すことが国として掲げられ、東京を初めとして多くの地域が目標の実現に取り組んでいくにあたって、自動車をガソリン車やディーゼル車から電気自動車や燃料電池自動車にシフトするという単純な対策ではあまりにも視野が狭い。補助金を手厚くすること以外はユーザーや企業に委ねることになるのも行政としてあまりにも主導権がなさすぎる。

 また、カーボンニュートラルは電動車シフト、デジタル化は行政手続きのオンライン化、コロナ対策は営業時間短縮やGoToと、縦割りの対策になってしまっていることも残念に思う。これらの対策を融合することで新しい価値を生み出し、新ビジネスや新産業の創出につなげていける可能性があるからだ。

 トヨタ自動車は静岡県裾野市にWoven Cityという未来の街を造ろうとしているが、街や国をどういう姿に変えていくべきかを検討し将来像を描くことは、行政が本来やるべきことではないのだろうか。カーボンニュートラル、DX、アフターコロナを見据えて街や国をどのようにリ・デザインしていくのかを早急に検討しなければ、自動車産業だけでなく、街に関連する多くの産業が世界から立ち遅れることになりかねない。菅新政権のリーダーシップでこれまでにはない新しい取り組みが進められることを期待したい。

  
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