日本の政党の「惨状」
4月5日、国民新党で消費税増税の賛否を巡り、亀井静香代表が解任される事件が発生した。しかし亀井氏は無効と主張。
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驚くべきことは、党内闘争が発生したことそのものではなく、代表解任手続きが党の規約に定められていなかったことである。
4月6日には、鳩山由紀夫元首相が政府の中止要請を無視してイランを訪問。アフマディネジャド大統領と会談し、当時国際社会で最もセンシティブな話題であったイランの核開発問題に関連して、IAEA(国際原子力機関)を批判したと報道された(鳩山氏は否定)。
一連の行動はこれまでイラン制裁で欧米諸国と足並みを揃えてきた日本の国際的な信頼を損ねることになった。鳩山氏がいくら個人の行動と説明したところで、国際社会が同一政権の元総理大臣の発言として受け止めるのは常識だ。
嘆かわしいのは、国益に反した鳩山氏の動きに対し、民主党に打つ手がなかったことである。政党幹部の責任について、法令上も党則にも明確なルールがないことの表れだ。
株式会社に喩えてみれば分かりやすい。定款がなく、各役員と、取締役会など意思決定機関の権限・責任が不明瞭。代表取締役の解任手続きが定められていない。元社長の暴走を事前においても事後においても止めることができない。そんな企業が続くことは、あり得ないと誰もが思うだろう。
日本の政治のレベルアップには何が最も必要か。構想日本は幅広い議論を重ねてきた結果、政党のガバナンスの確立、そして、その基盤をつくるための「政党法」の制定が不可欠と考えるに至った。企業が業績を上げようとするなら、ガバナンスすなわち自己統治が確立していないといけないのと同じだ。その詳細は2009年に発表したが、政界の状況は当時よりさらに悪くなっている。本稿で改めて政党法制定の必要性を指摘したい。
政党は、憲法第21条で定められている「結社の自由」に基づく自由結社であり、法による縛りはなじまないという意見がある。しかし、ガバナンスに関するルールを設けることと自由かつ国益にかなう政治活動を保障することは、むしろワンセットなのである。しかも、これだけ政治の劣化が言われ、各党で多くの「惨状」が発生しているのだ。自浄能力にはもはや期待できないのである。