企業は自由に設立し活動することができるが、商法や会社法など多くの定めに従わなければならない。さらに上場し、社会的な影響が大きくなるほどルールは厳しくなっている。政党もしかりだ。
法によるガバナンス強化のポイントは以下4点である。
(1)党組織の権限・責任の明確化
(2)政策の整合性、立案能力の向上
(3)候補者の質向上、選定の透明化
(4)有権者に対する説明責任
順に説明していこう。
党のルールとマニフェストを縛る
まず(1)について。党の役員および機関の権限や責任、任期、構成員の選出方法を明確にする。会社法で、取締役会や代表取締役、取締役について細かく定められていることをイメージしてもらえばよい。
意思決定の主体とプロセス、及ぶ範囲が決まっていなければ、代表者が組織を導くことなどできない。これにより、政策の矛盾や変更が避けられ、強力な内閣の基盤ができる。
日本の総理大臣の任期の短さの問題はよく指摘される。直接の原因は総理の任期(=衆議院の任期)と関係なく頻繁に党首選を行うことにある。主要政党の党首は総理候補として選挙で選出された責任があるのに、党内事情が優先されて交代に追い込まれてしまう。
そうなると、内閣と総理はますます内向きの政治に走る。「総理たる与党党首の任期は、就任当時に召集された衆議院の任期と同じとする」と定めておけば、総理が安定的に国家運営に取り組むことに繋がる。
内閣と与党の一体化も重要な課題だ。近年、閣外の与党議員が内閣の意思決定に背くなど、与党内の意見不一致が目立ち、物事が決まらない状態が続く。そもそも、制度上国民に責任を負っていない政党内の政策決定が、政府の方針より優位にあることは、議院内閣制の否定なのだ。過去何十年も続いているこの根本的ねじれを解決するには、幹事長、政調会長といった与党幹部に、何らかの形で入閣を義務付け責任を負わせるのも一案ではないか。
民主党政権交代時の「子ども手当」や「高速道路無料化」、最近では自民党の「国土強靭化計画」(200兆円)、など、選挙前は各党ともバラマキ政策に走りがちだ。