2024年6月20日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年9月7日

 現在、ドイツは安全保障・防衛政策をめぐり分裂している。このギーゲリッチ氏のような見方をする人もいないわけではない。例えば、アンネグレート・クランプ=カレンバウアー(通称AKK)国防相はそうした一人である。しかし、彼女はメルケル率いるキリスト教民主同盟(CDU)で主流派にはなれず、首相候補の座から追い落とされた。

 マスコミでは、今回の選挙戦では、保守系新聞のヴェルト紙もFAZ紙も、CDU後任候補ラシェット氏を支持しておらず、異様な選挙となっている。保守系メディアが離れた最大の理由が外交路線である。しかし、それはCDU本体を動かすには至っていない。CDUは支持率を下げているが、メルケル個人の評判はそれほど影響を受けていない。

一枚岩でない状況で日本はどう動くか

 ギーゲリッチのような見方は、ドイツの中で増えてはいるが、いまだ半分よりはおそらく少ないだろう。諸政党の中では、ロシアとドイツを結ぶガスパイプライン、ノルドストリーム2に反対しているのは緑の党くらいである。

 選挙後もおそらく、中国やロシアに甘い外交が続くものと思われる。ただ、決してドイツ国内は一枚岩でないことを意識して、日本としては自由主義陣営にコミットしている勢力としっかり絆を結んでおく必要がある。

 日本では、緑の党をいまだに単なる市民運動の左翼と思われがちだが、日本の野党に比べれば、はるかに現実主義の政党である。特に外交・安保ではレアロと呼ばれる党内右派の安保専門家たちが、大変しっかりしている。

 社会民主党と緑の党が連立したシュレーダー政権(1998年~2005年)では、外相を緑の党のヨシュカ・フィッシャーが務め、コソボ介入の軍事作戦も参加した。緑の党が選挙後に政権入りするとすれば、彼らは政権についたその日からNATOの一員としての責任を果たしていく準備ができていると言ってよい。

   
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