NATO加盟問題については、進展はなかったが、上述の通り、ウクライナに対する武器供与については6000万ドルの安全保障支援パッケージが合意されたこと、バイデンからウクライナの主権と領土一体性を守る米のコミットメントは「鉄の装甲のように固い」との発言を引き出したことは、ウクライナ側にとり歓迎できることであったと思われる。
行動指針を示したとも言えるプーチンの論文
米中対立では台湾が今後焦点になるが、欧州における米ロ関係では、今後ウクライナが焦点になる可能性が最も高いと思われる。
本年7月21日にプーチンは自ら「ロシア人とウクライナ人の歴史的統一について」という論文を発表している。要するに、ロシア人とウクライナ人は同じ民族であるとする主張である。これをプロパガンダと片づける人も多いが、プーチンの今後の政策、行動方針を示したものと言う人もある。後者のごとくみなして、警戒していく事が正解ではないかと考えられる。
今年の4月、ロシアはクリミアや東部ウクライナの国境近くに10万以上の兵力を演習と称して展開、ウクライナに威圧を加えた。バイデンがプーチンとの首脳会談を持ち掛けたのはこの緊張の緩和をも狙ったものであった。ロシアはこの兵力は撤収させたが、ウクライナ側はいつでもロシアは兵力展開ができる状況が続いているとしている。ウクライナ問題はかなり大きな影響を世界情勢に与える問題であり、注視する必要がある。