2024年4月26日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年10月6日

 したがって、左派諸国を中心にCELACが結束して米国に対抗し、あるいは、米国に圧力をかけるどころではなかったわけである。また、メキシコには、米国との特別な関係があり、原油を武器にカリブ諸国などを取り込んだかつてのベネズエラのような資金力がある訳でもなく、左派ラテンアメリカ諸国の盟主として米国と正面から対立することは元々無理なのだと言えよう。

習近平がビデオメッセージで参加

 ラテンアメリカ諸国の左派政権の動向の懸念を指摘するとすれば、むしろ、チリ、コロンビア、ブラジルに左派政権ができることであるように思われる。CELAC発足時との大きな違いは中国の存在である。

 中国は、2015年に中国・CELAC閣僚会議を北京で開催し、今回のサミットでも習近平のビデオメッセージで参加した。中国はその資金力を背景にCELACを対ラテンアメリカ外交の1つのツールとして位置付けている。特にブラジルにルーラ政権が復活しCELACに復帰するようなこととなれば、雰囲気はかなり変わってくる可能性もあろう。

   
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