Wedge SPECIAL REPORT

2021年10月8日

»著者プロフィール
著者
閉じる

ギヨーム・ピトロン Guillaume Pitron

資源地政学を専門とするジャーナリスト、ドキュメンタリー監督

パリ大学で法学修士、ジョージタウン大学で国際法修士号を取得。レアメタルと地政学について、フランス議会などに定期的にレクチャーしている

「Wedge」2021年7月号では、現代文明を支える「砂」、「土(レアアース)」、「水」という戦略資源が世界で奪い合いが起こっている現状を特集しました。。記事の内容を一部、限定公開いたします。全文は、末尾のリンク先(Wedge Online Premium)にてご購入ください。
スマートフォンや電気自動車(EV)に不可欠なレアメタル(希少金属)。先進国は今「温室効果ガス排出ゼロ」に突き進む。落とし穴はないのか。著書『LA GUERRE DES MÉTAUX RARES(邦題・レアメタルの地政学 資源ナショナリズムのゆくえ〈原書房〉』でレアメタルの需要が激増する中、中国が支配力を増す危険性を指摘した仏ジャーナリスト、ギヨーム・ピトロン氏に聞いた。
聞き手/構成・木村正人 Masato Kimura
ギヨーム・ピトロン Guillaume Pitron
資源地政学を専門とするジャーナリスト、ドキュメンタリー監督。パリ大学で法学修士、ジョージタウン大学で国際法修士号を取得。レアメタルと地政学について、フランス議会などに定期的にレクチャーしている
中国江西省南城県のレアアース金属鉱山の現場で働く男性。写真は2010年に撮影されたものだが、状況は変わっているのだろうか? (REUTERS/AFLO)

木村(以下、――)21世紀は「レアメタルの世紀」なのか。

ギヨーム 蒸気機関は石炭、内燃機関は石油によって可能になった。私たちは今、ソーラーパネル、スマートネットワーク、風力タービン、電気自動車(EV)、電力貯蔵による3番目のエネルギー転換を経験している。19世紀は「石炭の世紀」、20世紀は「石油の世紀」だった。21世紀は「レアメタルの世紀」になる。

――本書を書いた動機は何か。

ギヨーム 2009年からレアメタルに興味を持った。翌10年に日本はレアメタルの一種、レアアース(希土類)危機を経験した。この問題に取り組む必要があると確信したのは、レアメタル業界で働く人々が「レアメタルは新しい石油だ」と話していたからだ。

 彼らは「これは未来であり、重要なテーマになる。中国がすべてを握り、私たちは中国に依存する。中国はレアメタルを売るだけでなく、それを使った素晴らしい技術を売るバリューチェーンを支配する」と予測した。レアメタルの物語はエネルギーの未来、グリーン革命の未来、デジタルの未来、中国の未来と野心を教えてくれる。

 レアメタルは未来を見つめる鏡だ。私の祖国フランスでは誰もレアメタルに興味を持っていなかった。本を書くために日本を二度訪れたが、日本では誰もがレアアースを知っていた。デジタル化が進む日本はレアアースをより必要としていた。この重要性が高まるにつれ、中国の支配力が強まることに警鐘を鳴らす必要があると考えた。

――レアメタルの採掘でどれぐらい汚染が広がるのか。

ギヨーム 鉄や銅、アルミニウムの金属と比較すると、レアメタルは1000~3000倍希少だ。同じ量を精製する場合、数千倍以上の岩石から抽出する必要がある。最も汚染するのは大量の化学物質や水を使って岩石から鉱物を100%精製する過程だ。レアアースは地中でトリウムやウランと混ざっていることが多く、分離プロセスで放射性物質が出る。

 法律で労働者の健康を守ることを義務付けられていれば汚染を管理できる。中国でも規制は存在するが、現場では有名無実だ。北京から遠く離れた現場ではカオスが広がる。彼らは無責任に行動し、規制を気にせず、やりたい放題だ。重金属や化学物質で汚染された水は処理されず、廃棄されている。放射線が放出され、がんの原因になる。

――取材で訪れた中国の「がんの村」で何を見たのか。

◇◆◇ この続きを読む(有料) ◇◆◇

 
 

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。

Wedge 2021年7月号より
資源ウォーズの真実
資源ウォーズの真実

現代文明を支える「砂」、「土(レアアース)」、「水」─。

世界ではいま、これらの戦略資源の奪い合いが起こっている。

ありふれた素材の「砂」は高層ビルから半導体まであらゆるものに使われ、

「土(レアアース)」は世界の自動車メーカーが参入する電気自動車(EV)に欠かせない。

そして生命に欠かすことのできない「水」……。

それぞれの資源ウォーズの最前線では何が起こっているのか。

関連記事

新着記事

»もっと見る