Wedge REPORT

2021年11月19日

»著者プロフィール

 まず、品種についてだが、日本が長い間移植栽培を継続してきたため、開発されてきた品種も移植栽培用であり、これらの品種は直播栽培には不向きであり、高反収を得られない。ただ、世界の直播栽培を採用する地域では、それぞれ直播栽培で高反収を得る事のできる品種が開発され、栽培されている。

 直播栽培で高い収穫を得るために、新品種の開発が必須であるが、すでに多収品種として移植栽培に使われている品種などから、短期間で新品種を育種育成することが可能である。日本は、育種技術で世界のリーダーであったこともあり、明確な目標を提示することで、新品種の開発も困難な道ではない。

 ドローンで直接水田に種を播く前についても、農薬を使わず「約60℃」のお湯に一定時間(約10~20分お湯の温度によって変える)浸して、種の表面についている病菌を消毒するだけで良い。この種子消毒法は「温湯浸法」といい、日本の試験場が開発した優れた消毒法で、農薬の消毒効果を超える高い消毒効果が期待できている。

 消毒した種子に水を吸わせて、発芽準備をする。芽が見え始めたころ、30度前後のお湯に入れて種子の芽と根を出させる。芽と根が約2㍉メートルに伸びたときにお湯から出して、表面の水分をとった段階でドローンの種まき装置に入れて、種まき準備が完了する。

 移植栽培用の育苗には、育苗箱に種子をまくために種子の発芽処理をする。発芽種子をドローンで直播する時は、育苗用の発芽種子をつくったら、それをドローンに積んで水田に播く。育苗箱に種を播くところから田植えをするところまでの、育苗と苗運搬などすべての作業を不要とし、それらの作業に必要な機械器具も不要としている。

播種床づくりで4倍、田植えで10倍以上の生産効率

 移植栽培でも田植え前の「代かき」の出来が、イネの収量に影響することは前述の通りであるが、ドローンでの直播栽培でも同じである。種を播く「播き床」を「代かき」をした状態にするのが良いのかを考えなければならない。

 栽培状況を見ていくと、ドローンによる直播栽培は、乾燥した水田を10㌢以下の深さで土を塊で反転させる「反転耕」を行い、表面の土塊が乾燥後に表層3~5㌢の土を砕土して平らにならし、種を播いた後に芽を伸ばして太い根深く張らせるために土を鎮圧しながら、水田の表面に10c㌢前後の高さの山と谷をつくることで可能となることがわかった。これらの工程は中・小型のトラクターとけん引タイプの作業機で作業を完結できるのだ。

 これに対し、移植栽培は深く耕すことが多収の基本とされている。大型トラクターと作業機類により20~30c㌢前後の深耕を必要としている。深く耕すことは、トラクターへの強い負担となり、作業するための走行速度も遅くなる。

 直播栽培での播種床(はしゅどこ)つくり作業は、時間当たりの作業可能面積で、大型トラクターでの作業を余儀なくされる移植栽培のための耕起・代かき作業の倍以上の作業量を可能にする。時間当たりの作業代売り上げ単価は、機械の償却費も半減するため、単純な自給単価の計算ではあるが、約4倍増になる。

関連記事

新着記事

»もっと見る