世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年1月11日

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 2021年12月18日に投開票された台湾の国民投票は、4件すべてが不成立になった。国民投票で問われたのは、(1)飼料添加物のラクトパミンを含む米国産豚肉の輸入禁止、(2)原発再稼働、(3)建設中のLNGターミナルの移転、(4)国民投票と大型選挙(国政選挙あるいは統一地方選挙)との同時実施、であった。いずれも国民党が推進したものである。

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 国民投票と大型選挙は、従来は同時に実施されていたが、19年に別個に実施されるように変更されている。今回は、この新しい制度の最初のテストケースとなった。

 全て否決という結果は、蔡英文・民進党政権の政治的勝利と見てよい。野党・国民党が仕掛けた国民投票がこのような結果となり、蔡英文政権の政策が信任される結果となった。一時、民進党不利と報道されたこともあったが、結果的には、民進党の勝利に終わった。野党国民党にとっては、20年の総統選の敗北に次ぐ惨敗となったといえよう。

 4件のうちでも、特に第一の案件であったラクトパミンを飼料に使った米国産豚肉の輸入禁止を求める声が多数となれば、米台関係に暗い影を落とす恐れがあった。長年の懸案であったラクトパミン使用の米国産豚肉の輸入解禁は、蔡英文政権が昨年夏、立法院(国会)の審議を経ず、行政命令で輸入を決めたものである。野党・国民党は「ラクトパミンは健康に有害」などと主張して、国民投票を要求してきた。

 さらに、原子力発電所再稼働についての投票、および建設中のLNGターミナルの移転についての投票のいずれにおいても、投票者の51%~52%が反対票を投じ、民進党を支持した。そして、4番目の国民投票と総選挙の同時実施についても、民意の57%は民進党の主張を支持した。

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