台湾で昨年12月18日に行われた、4件の住民投票(国民投票)は、民進党政権の全勝、野党・国民党の惨敗となった。与党・民進党が、住民投票を与野党対決の構図に持ち込み、政権に対する信任投票へと転換したことが勝因とみられている。ただ、わずか4割にとどまった投票率から、二大政党がともに敗北したとの指摘もある。

住民投票は①飼料添加物ラクトパミン(肥育促進剤)を使用した豚肉の輸入の再禁止、②建設途中で中断した第4原子力発電所(新北市)の計画再開、③総選挙と住民投票の同日実施、④希少な石灰藻礁保護のため天然ガス輸入施設の建設予定地変更、について有権者に賛否を問うた。
ネットメディアの『風伝媒』によれば、民進党は蔡英文総統を先頭に一丸となり、4件を故意にひとくくりにして「4つの反対」の大キャンペーンを展開。「ラクトパミン豚」をわざと「米国産豚」と言い換えるなど、国民党は反米親中だとのイメージを強調して、有権者の愛国心と反中感情をあおった。
国民党側も、当初は「豚肉」など2件に絞り与党を攻撃するつもりだったが、朱立倫主席が、世論調査の結果から、「4つの賛成」を叫ぶ方が勝算ありと判断し、進んで与野党全面対決の構図にはまり込んだ。ただ、首都圏である新北市の侯友宜市長(国民党)は、地元・第4原発の計画再開に反対。党派を問わず国民の人気が高く、次期総統選で野党の有力候補である侯市長が、終始「4つの賛成」に距離を置いたことが国民党敗北の一因となった。党内で「戦犯」との批判が噴出している。
『風伝媒』によると、開票の結果は、賛成票、反対票の得票率が2020年の国会議員選挙の比例代表区における民進党と国民党のそれとほぼ同じだという。22年の統一地方選挙を前に、両党の支持率を調べる「大規模かつ正確な世論調査」となった。
民進党は全体では勝利し、蔡総統と蘇貞昌行政院長(首相)がコンビを組む現体制は続投が決まった。ただ、首都台北市のほか、北部の重要都市である新竹、基隆、桃園の3市は、4件とも賛成が反対を上回って完敗。3市とも現職市長が民進党だが、22年の地方選で敗北の恐れがあり、党内では蘇院長の引責辞任を求める声が出た。
もっとも今回の住民投票では、二大政党の懸命のキャンペーンにもかかわらず、住民投票の投票率が41%にとどまったことで、双方とも敗北との見方もある。両党の固い支持者は合わせて4割どまり。6割に近い無党派層が、有権者の主流であることが鮮明となった。
米政府系放送局「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」によると、台湾国会の第3党、台湾民衆党の謝立功秘書長は「二大政党がイデオロギー対立をあおっても、もう有権者は乗ってこない」と述べた。第4党の時代力量も「台湾民衆は、投票を棄権することで、政党に縛られることを拒絶した」とするコメントを出した。
実際、住民投票をめぐる二大政党の大騒動に有権者は白けきっている。開票数日前から台湾メディアは、有名男性歌手ワン・リーホン(王力宏)さんの元妻による「モラハラ告発」騒動の話題でもちきりだった。
■ 人類×テックの未来 テクノロジーの新潮流 変革のチャンスをつかめ
part1 未来を拓くテクノロジー
1-1 メタバースの登場は必然だった
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part2 キラリと光る日本の技
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