2022年9月27日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年2月14日

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 ロバート・ハーグレイヴス(ThorCon International共同創立者)が、1月26日付のウォールストリート・ジャーナル紙(WSJ)に、「もしきれいな電力が欲しいのなら、核分裂を利用せよ。核事故は起こるが、害のリスクは極めて小さい」との論説を寄せ、原子力発電を推奨している。

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 この論説の筆者はダートマス大学で教えている人物で、原子力エンジニアリング会社、ThorCon Internationalの創立者である。そういう彼の立場からの論説と言えるが、同時に原発の利用を推奨して、それなりに説得力のある論を展開していると言える。

 地球温暖化と、それに伴う気候変動は、すでに台風やハリケーン・サイクロンの巨大化、山火事の多発と巨大化などで、人類に大きな災害をもたらしている。多くの死者も出ている。

 これから脱炭素社会を作っていく必要ははっきりしているが、その中で、「(火力のように二酸化炭素を排出しない)クリーンで(再生可能エネルギーより)経済的な」原子力発電を重視していく事が必要であろう。再生可能エネルギーで世界のエネルギー需要をまかなえればそれでもいいが、今後も増え続ける発電の断続性など、克服すべき課題は多い。これに対し、原発は既に確証された技術である。事故が起きたときに、被害を限定するために原子炉の小型化、地下への設置などの方策も考えられるだろう。

 世界的には、ハーグレイヴスが言うように、原発をさらに作る方向が、EUでの原発のグリーン認定の動きや中国の原子炉建設計画などで出てきている。世界では、現在、57の原発が建設中であるという。

 欧州では、英国のジョンソン首相、フランスのマクロン大統領が国内での新しい原発の建設を承認した。中国は1年当たり10基の原発を約束しているというし、中東等でも原発建設が予定されている。

 ドイツの原発ゼロ政策はこの動きに反するが、気候変動への懸念が広がるにつれ、原発は増える方向にあると判断される。

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