世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年3月2日

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 1月29日付のウォールストリート・ジャーナル紙(WSJ)説が、中国による対リトアニア貿易措置について欧州連合(EU)は世界貿易機関(WTO)に提訴した、EUはリトアニアを守っていくべきだと述べている。

Mohamed Rasik / Nuthawut Somsuk / iStock / Getty Images Plus

 1月27日、EUは、中国がリトアニアに差別的貿易措置を取っているとして、中国をWTOに提訴した。当然の事であり、良いことだ。その後、豪州、台湾、米国、日本、カナダが、夫々「相当の貿易利害を持つ」として協議への参加要請を行った。英国も2月7日に参加要請をする旨明らかにしている。

 日本が協議参加要請をしたことも良いことだ。利害を持つのであれば当然であり、またEUとリトアニアを支援することにもなる。これで主要7カ国(G7)関係国は全てリトアニア・EU支援を明確にしたことになる。なおリトアニアはEU加盟国であり、その対外貿易関係の権能は個々の国ではなく、EUの排他的権能とされている。それ故、EUがWTO提訴の当事者になる。

 今後、問題解決のため中国との間で協議が行われる。しかし、60日の間に解決されない場合、EUはパネル設置を要請できる。パネルの報告は、全ての加盟国の間に否決のコンセンサスがない限り、採択される。きちっと、粛々と手続きを進めていくべきだ。リトアニアを支援していくべきだろう。

 WSJの社説は、WTO紛争処理提訴を余り信じていないようだ。中国による貿易措置に効果があるのは、同様に経済対価を伴う貿易措置で対抗することだと述べる。更に未批准のままになっているEU・中国投資協定を棚上げにすることだという。

 投資協定の棚上げは社説が言う通り良い考えだと思う。しかし、WTOの紛争処理を軽視するのは間違っている。目下、WTO上級委員会は従来の米国の反対のため委員がおらず、上訴を処理することが出来ない状況にはあるが、パネルなどの手続きは司法判断を出すものであり、司法判断を敗訴側が実施しない場合は、加盟国はWTOの承認を得て報復措置をとることが出来る。

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