2024年11月22日(金)

21世紀の安全保障論

2022年4月1日

 日本が情報戦で負けないためには、政府の明確な方針の下での官・民・自衛隊の一致協力した「ブレない情報戦」が最も重要である。そして、自国の正当性の主張が侵略した国のそれを質的・量的に圧倒する「攻めの情報戦」だけでなく、自国や自国民の弱点を晒さない「守りの情報戦」も不可欠だ。また、情報戦で同盟国・友好国の協力を得ることも欠かせない。

 ウクライナ戦争では、ウクライナ軍が撮影したと思われる動画が多く公開され、ウクライナへの支持・支援の獲得に貢献している。これに倣って自衛隊も、情報戦上の効果がある動画を撮影し、国内外で積極的に公開する必要がある。

 戦況について自衛隊が適切な範囲で公表することも、国民や国際社会の疑念を払しょくする上で重要である。さらに、情報戦上の問題の無い国内外メディアによる取材を自衛隊が支援することも欠かせない。

 他方、情報戦上好ましくない動画などの公開を未然に防止する措置も必要である。こうした情報戦能力の向上は自衛隊の課題であり、関係機関と協力した情報戦組織の整備、要員の育成、戦法の研究、訓練などが待たれる。

政府、国民が侵略に抵抗する意志の堅持を

 本稿では、自衛隊がウクライナ軍のように粘り強く戦う上での課題を3つの視点から考察した。しかし、これら3つの視点が全てではない。多くの日本国民が戦争への危機感を高めている今、国会は日本の防衛について多様な視点から議論すべきである。

 ただし、この議論では、自衛隊だけでは侵略と戦えないことを土台とすべきである。最も重要なのは、ウクライナの如く、首相(政府)が侵略に抵抗する意志を堅持し、国民がそれを支持して戦いに耐え、自衛隊を支援することである。

 そして、米軍の日本防衛への参画も死活的に重要である。これらが無ければ、日本は早々に侵略にひれ伏し、2回目の敗戦を迎えることになる。

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