日本という国は今も昔も、世界からいろいろ“難癖”をつけられる国なんだなという思いを強くしたのは、「アベノミクス」を巡る最近の世界の論調だ。アベノミクスによる円安・株高の効果が顕著になってきた1月ごろから、世界各国からは日本に対して批判が相次いだ。
2月4日の日本経済新聞の電子版に詳しいが、日本を名指しした批判はドイツからのものが多かった。ドイツのショイブレ財務相が安倍政権の経済政策への懸念を指摘したほか、メルケル首相は1月下旬、スイスのダボス会議で「日本への懸念がないとはいえない」と発言した。
これに対し日本は「為替操作などという批判はあたらない」などと反論していたが、こうした中、2月中旬、モスクワでのG20(主要20か国・地域)財務相・中央銀行総裁会議の場が注目された。アベノミクスを中心に久しぶりに日本の動向が注目されたG20となったからだ。会議直前には日本が名指しで批判されるのではないかとの懸念も出ていた。幸い名指しされることはなく日本への一定の理解は得られたが、新興国を中心に日本への反発や警戒心は十分には解けなかった。
なぜ日本は批判されるのか
日本をめぐっては、少し前まで長期間のデフレに苦しみ、なかなか経済が回復できずに世界経済の足をひっぱる「お荷物」と見られていた。欧米を中心に「ジャパナイゼーション」(Japanization=日本化)という言葉も生まれ、エコノミストなどの間では「日本のような状態に陥らないようにしよう」という「反面教師」的な呼びかけにも使われた。
そしていま、経済がようやく上向く兆候が出てきたら、それはそれで批判されるという状況にあり、日本にとっては正に「八方塞がり」である。日本は2011年秋を最後に為替介入も行ってはいないのに、である。
一方、例えば、為替相場をウオッチしている市場関係者の間では韓国がウオン安誘導や為替介入を行っていうことは半ば常識なのだが、日本はそうした国からさえも批判されている。
財政政策、金融政策、成長戦略の3本の矢で経済浮揚を図るアベノミクスは、時を経るごとに定着しつつある感があるが、実際にこれまで10兆円規模の補正予算を成立させたほか、日本銀行には2%の物価目標の導入を約束させ、政府の考え方に同調する総裁・副総裁を選ぶ段階にまで至っている。この結果、株価も上昇し、決算期末にあたる3月末を控えて経済に明るさも見え始めている。