2022年12月7日(水)

World Energy Watch

2022年4月23日

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山本隆三 (やまもと・りゅうぞう)

常葉大学名誉教授

NPO法人国際環境経済研究所所長。住友商事地球環境部長などを経て現職。経済産業省産業構造審議会臨時委員などを歴任。著書に『電力不足が招く成長の限界』(エネルギーフォーラム社)など多数。

 原子力発電では、燃料の濃縮ウラン供給の問題がある。ウラン鉱石の採掘はカザフスタン、豪州など多くの国で行われているが、ロシアが世界の濃縮能力の4割強を保有している。世界最大のウラン鉱石採掘国カザフスタンで採掘された鉱石がロシアに送られ濃縮されるためだ。核燃料は、数年に一度の装着なのでロシアに常に依存することにはならないが、将来に備えロシア依存ではない設備の建設が必要になる。

いまこそ日本の安全保障強化を

 安全保障を強化するためには、ロシアにも中国にも依存しないサプライチェーンを構築しなければならない。欧州諸国は電気自動車(EV)の蓄電池、レアアースなどを中国に依存することなく域内で調達する戦略を進めている。

 日本は、短期的には化石燃料におけるロシア依存度の引き下げと同時に、米国、豪州など安定した国からの調達比率を増す方策が必要になる。当面世界的にエネルギー価格が高止まりすることは、安全保障強化策の副産物として受け入れざるを得ない。欧州主要国と同様に、政府によるエネルギー価格、電気料金への補助が必要になる可能性もある。

 中長期には、再エネと安定供給の視点からも重要性を増している原発の再稼働と新設による電力供給、水素製造により自給率を向上させる必要がある。そのためには中国、ロシアに依存しない原料供給の体制作りを、欧米諸国との協力の下急ぐ必要がある。脱ロシアが中国依存を作り出すのであれば、目も当てられない。

 
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