2024年12月2日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年3月20日

 スタンフォード大学フーバー研究所のフォアド・アジャミ(Fouwad Ajami)が、2月10日付WSJの論説で、モルシ政権は、ムバラクの遺した負の遺産から脱しきれておらず、このまま放置すると、ジハーディズムの温床となる恐れがある、と警告を発しています。

 すなわち、ムバラクが去って、彼の唯一の存在価値だったと言える「安定」が失われた。それはムバラク評価につながるものでもなく、彼は遺産として、200万の腐敗した治安警察当局者を遺した。

 エジプト人は本来、高貴な(noble)優しい(mercy and forbearance)人々である。リビアのように、ムバラクを処刑もしなかった。

 ムバラクの時代に、反米、反ユダヤ、反近代化のような毒がエジプト社会に浸透し、結果としては、ムスリム同胞団が革命をハイジャックしてしまった。思い起こせば、まともな対立候補だったヌールを投獄してしまった、2005年の総選挙が岐路だったかもしれない。

 政治も経済も行き詰っている。米国政府では、自由を標榜するのは時代遅れになったらしく、ただ、放置して見守っているだけである。しかし、アルカイダのザワヒリを生んだ例もある。このままではジハーディストを生む恐れがある、と述べています。

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 アジャミという人は、晦渋な文章を書く人ですが、この論説で言わんとするところは、次のようなことです。


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