2024年4月20日(土)

Wedge REPORT

2013年4月25日

バブルを抑える方策
(朝野賢司)

図1:日本の太陽光買取価格はFIT先行国の2倍以上 (出所)筆者作成
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 FITの運用で重要なことは、導入量ばかりを優先するのではなく、できるだけ少ない国民負担で、より多くの再エネ供給を得る効率性の観点である。FIT法が規定する「過重な費用負担を避ける(3条4項)」ために、何が問題なのか。

 第1の問題は、将来大幅な値下がりが確実なPVに対して、余りにも高い買取価格をつけていることだ。

 確かに現時点で日本のPV価格は高いが、輸入の増大で値下がりが進んでいる。野村浩二・慶応大准教授によれば、(1)PVモジュール価格を国際比較すると、11年時点で日本は主要14カ国の平均の2.5倍で、(2)10年から12年第3四半期にかけて、日本の輸入シェアは8%から32%へ大幅に拡大している(「太陽電池の輸入シェア弾性の測定と電力価格上昇によるシミュレーション」より)。今後、国内製品から輸入品への代替がさらに進み、大幅な価格下落が予想される。

図2:ドイツは太陽光買取価格を4年で60%引き下げた (出所)月別導入量はドイツ連邦ネットワーク庁(BNetzA)、買取価格はFIT法案をもとに筆者作成
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 PVは、世界的な供給超過による価格急落とコモディティ化で、同一の日射条件であれば発電コストが地域によらずほぼ同程度になった。実際、他のFIT先行導入国でのPV買取価格は1kWhあたり10~20円であり、日本の半分以下である(図1)。

 ドイツでは、買取価格をこの4年間で約60%切り下げて費用負担の抑制を目指してきたが、それでも導入ラッシュを防げていない(図2)。つまり、ドイツでは買取価格が日本の2分の1~3分の1なのに、事業者は利益が得られているわけだ。

 日本が高い買取価格を設定する合理的な理由はない。内外価格差を是正する価格設定を考えるべきだ。


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