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2013年4月25日

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朝野賢司 (あさの・けんじ)

一橋大学特任講師

1974年福岡県生まれ。京都大学大学院にて地球環境学博士号を取得。産業技術総合研究所バイオマス研究センター特別研究員を経て、2007年より電力中央研究所社会経済研究所主任研究員。2015年4月より現職(兼任)。17年より社会経済研究所上席研究員と現職を兼任。著書に『再生可能エネルギー政策論 買収制度の落とし穴』(エネルギーフォーラム社刊)など。

既設風力
買取の問題点

 第3の問題は、既設を買取対象にしたことだ。

 例えば既設風力は、FITの前に実施されてきたRPSでの発電量と変わらない(41~44億kWh)。

 しかし、既設風力への買取価格は、RPSで約10円だったが、FITに移行すると約15~19円(補助金分控除後)に跳ね上がった。

図3:既設風力はFIT対象となって買取金額が跳ね上がった (出所)筆者作成
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 FIT施行(12年7月)と同時に、全ての既設風力がFITに移行したとして試算すると、買取総額は11年度460億円から、12年度600~730億円、つまり約1.5倍に増加している(図3)。

 本来、FITは再エネの新規拡大を目的としている。既設分は従来のRPSを前提として、事業を開始しており、RPSでの買取価格で採算がとれるはずだ。言い換えれば、既設に買取価格を上乗せすることは、事業者の丸儲けでしかない。

 風力発電では、一部の事業者や自治体の事業計画が甘く、赤字だらけという指摘もある(本誌12年2月号、斉藤純夫・ウィンドコネクト代表取締役「風力発電事業が赤字だらけの理由」参照)。実質的な赤字補填となっている可能性もあるだろう。

 既設がFITの対象となった理由についてエネ庁は「ノウハウを活かして更新投資を促すため」としている。しかし、「更新投資を促す」のならば、既設移行分へのFIT補助のインセンティブはどのように計測するのか、それはFITによる新設買取に比べて、費用対効果が優れているのか示す必要がある。

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