買取価格
適用時期の変更を
第2の問題は、FITの買取価格が、先の編集部記事の通り、事実上の書類申請受理段階で決まることだ。ドイツ等ほとんどの国は運開時点で確定される。リードタイムが短いPVでは、発電事業者にとって異例の優遇を与えていると言える。
現行制度では、買取価格の権利を先に獲得し、数年後にパネルの価格が安くなってから、運開することが許される。
確かに、設備認定を受ける際に、製造事業者や型番号等の書類を提出させている。エネ庁は「資材発注をかけた後、設備型式を変える場合、設備認定の変更対象となる。その時点でまた価格は変わる」と説明する。
しかし、製造業者と型番号が同じでも、需給や仕入先で製品価格は増減する。これは一般の商品と同様だ。PV事業者が資材の費用をエネ庁に提出するのは、運開後である。たとえ製造業者等が同一でも、設備認定時と運開時で費用は変わりうる。
加えて、製造業者等を変更し、その届けをエネ庁に出さずに運開した場合、エネ庁がチェックする方法は限られている。そもそも10kW以上のPV認定設備の件数は、12年11月末時点ですら2万件を超える。悪用される恐れは否定できない。
また、費用を買取価格に反映させるタイムラグが広がる懸念もある。FITの買取価格は、運開後の費用データを収集し、翌期に反映させる仕組みだ。しかし、FIT先行国におけるPV導入ラッシュの原因は、(1)リードタイムが極めて短いこと、(2)モジュール価格の急速な低下に、買取価格の変更が追いつかなかったことにある。買取価格の先行獲得が許される一方で、費用データの提出は運開後となる現行の仕組みは、更にタイムラグが長くなってしまう。
したがって、買取価格の適用条件を、「当該年度中に運開」に変更すべきである。