フィンランドの国の魅力を描く本である。国の名前から連想するイメージは、ムーミンやフィヨルド(入り江)などが多いが、最近では、若い女性首相が率いている国で、北大西洋条約機構(NATO)に加盟申請したというニュースを記憶している人も多いだろう。本書『フィンランドはなぜ「世界一幸せな国」になったのか』はこの北欧の国の男性と結婚し、30年以上現地に住む女性が著した。

学術的視点によるフィンランドの特徴
大学人でもある著者は学究的な鋭い視点でフィンランドの多様な特徴を紹介している。人口約553万人で、そのうち7.3%は外国生まれ。歴史的にロシアという隣の大国を常に意識せざるをえない国である。
北欧の国々の家具や照明器具を知る人はその魅力に引き込まれるが、中でもフィンランドは独特の特徴がある。
まず印象的なのは人々に「優しい国」という点である。若いカップルでも比較的容易に家を購入でき、そのための多くのサポートがあり、売買の手続きもいたってシンプル。日本ではサマーハウスやヨットを持ったり使ったりすることは経済的に余裕のある富裕層に限られるが、フィンランドではごく普通の人でも楽しむことができる、といった具合である。