2022年10月6日(木)

世界の記述

2022年8月11日

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宮下洋一 (みやした・よういち)

ジャーナリスト

在欧ジャーナリスト。1976年生まれ。スペイン・バルセロナ大学大学院でジャーナリズム修士。『卵子探しています』(小学館)で小学館ノンフィクション大賞優秀賞。『安楽死を遂げるまで』(同)で講談社ノンフィクション賞を受賞。近著に『ルポ・外国人ぎらい』(PHP新書)がある。
 

 欧州では、7月以降、山火事の被害が相次いで起きている。今年に入ってから7月までに、約60万ヘクタール(茨城県の土地面積に相当)が焼損しており、消火作業中の死傷者も続出している。各国で深刻化する山火事の背景には何があるのか。

欧州では山火事が続発している(AP/アフロ)

すでに年平均の4倍の面積が焼失

 欧州森林火災情報システム(EFFIS)によると、2006年から21年までの16年間で、欧州連合(EU)加盟国で発生した山火事の年間被害面積は、13万2910ヘクタール。これに対し、22年は7月30日までの段階で、すでに58万7868ヘクタールが焼損したという。7カ月間だけで、平年の約4倍の面積が焼け野原になっている計算だ。

 とりわけ、過疎化の傾向に悩む東欧諸国では、同じく16年間の平均被害面積で、今年は劇的に高い数値を表している。例えば、スロベニアは76倍、チェコ共和国に至っては140倍の面積が焼失している。

 スペインの被害も深刻だ。EFFISによると、今年1月から7月までに約23万ヘクタールの土地が全焼している。EU全体の約3分の1の被害を受けている。この面積は、12年の1年間で史上最悪を記録した数字を上回ることになった。

 スペインでは、7月以降、40度を超える記録的な暑さに見舞われている。南部アンダルシア地方では、8月までに合計9500ヘクタールが焼け、この面積は昨年の山火事による被害の3倍に相当するという。

 8月3日からは、北西部ガリシア地方のベリンで600ヘクタールが焼損し、周辺住民も避難を余儀なくされている。

 しかし、山火事の主な発生地は、このガリシア地方のように、比較的涼しいエリアでも次々と起きているのが現実だ。その理由は何か。

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