オトナの教養 週末の一冊

2013年4月26日

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東嶋和子 (とうじま・わこ)

科学ジャーナリスト・筑波大学非常勤講師

元読売新聞科学部記者。フリーランスで環境・エネルギー、医療、生命科学、科学技術分野を中心に、科学と社会のかかわりを取材。主著に『名医が答える「55歳からの健康力」』(文藝春秋)、『人体再生に挑む』(講談社)など。新著に『水も過ぎれば毒になる 新・養生訓』(文春文庫)

 「物理学者は、文明を評価する際、消費するエネルギーを元にランクづけする」として、旧ソヴィエトの宇宙物理学者ニコライ・カルダシェフが導入した尺度を紹介している点が、著者ならでは。それによると、タイプⅠ文明は惑星規模の、Ⅱは恒星規模の、Ⅲは銀河規模の文明で、それぞれのあいだにはエネルギー消費に百億倍の開きがある。

 現代の文明は、この分類によるとタイプ0もしくは0・7文明である。およそ百年以内に、われわれはタイプⅠの「惑星文明」に到達する。インターネットを「惑星規模のテレコミュニケーションシステムの基盤」として、惑星規模の言語、経済、文化、病気、そして中流階級の台頭をみることになるだろう、としている。

 そうした世界で国家や個人が存続するひとつの戦略は、「商品資本主義」から「知能資本主義」への移行をなし遂げることだ、と著者は主張する。

<戦後の日本の事例を考えてみるといい。日本は目立った天然資源をもたないが、それでも経済力は世界有数である。今日の日本の豊かさは国民の勤勉さと団結のあかしであって、足もとに富が埋まっていたからではない。>

 著者の褒め言葉に、現在の日本があてはまっているか、そしていつまであてはまるかは、心もとない。「科学技術立国」日本は、惑星文明の時代に「知能資本主義」先進国へ移行できるだろうか。本書には、そのためのヒントも隠されている。

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