2024年11月24日(日)

#財政危機と闘います

2022年10月31日

 まず、t年現在の社会保障給付総額と社会保障負担総額は以下の式で表すことができる。

社会保障給付総額(t)=一人当たり社会保障給付額(t)×高齢世代数(t)
社会保障負担総額(t)=一人当たり社会保障負担額(t)×現役世代数(t)
=社会保険料率(t)×賃金(t)×現役世代数(t)

 いま、経済がゼロ成長であると仮定して、社会保障給付総額について2019年と2045年のそれぞれの式に書き換えると、以下となる。

社会保障給付総額(19)=一人当たり社会保障給付額(19)×高齢世代数(19)
社会保障給付総額(45)=一人当たり社会保障給付額(45)×高齢世代数(45)

 ただし、ゼロ成長下のもとで一人当たり社会保障給付額を増やし続けるのは困難であり、一人当たり社会保障給付額(19)=一人当たり社会保障給付額(45)と考えれば、

社会保障給付総額(45)/社会保障給付総額(19)=高齢世代数(45)/高齢世代数(19)

となるので、45年の社会保障給付総額は

社会保障給付総額(45)=高齢世代数(45)/高齢世代数(19) ×社会保障給付総額(19)

と書ける。

 同様に、社会保障負担総額について19年と45年のそれぞれの式に書き換えると、以下となる。

社会保障負担総額(19)=一人当たり社会保障負担額(19)×現役世代数(19)
社会保障負担総額(45)=一人当たり社会保障負担額(45)×現役世代数(45)

 ただし、ゼロ成長を仮定すると、賃金(19)=賃金(45)となる。このとき、45年の社会保障負担総額は少なくとも19年の社会保障負担総額に等しくなければならないとすれば、

社会保障負担総額(45)/社会保障負担総額(19)=一人当たり社会保障負担額(45)×現役世代数(45)/一人当たり社会保障負担額(19)×現役世代数(19)

となるので、45年の一人当たり社会保障負担額は

一人当たり社会保障負担額(45)=現役世代数(19)/現役世代数(45) ×一人当たり社会保障負担額(19)

と書ける。

 つまり、一定の仮定の下では、2045年時点の社会保障給付総額も一人当たり社会保障負担額も、高齢世代と現役世代の人口比倍になると考えてよいことが分かる。

2045年に高齢世代の社会保障給付33%減の可能性も!

 総務省統計局「人口推計」及び国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来人口推計」によれば、各時点の高齢世代数(65歳以上人口)及び現役世代数(18歳から64歳人口)は、高齢世代数(19)=35758(千人)、高齢世代数(45)=39192(千人)、現役世代数(19)=72131(千人)、現役世代数(45)=53363(千人)であるので、45年の社会保障給付総額は19年の社会保障給付総額の1.10倍、つまり、45年時点の一人当たり社会保障給付を19年時点と同水準に留め置いたとしても、高齢化の進行により45年では社会保障給付総額は19年より10%増加する。一方、45年の一人当たり社会保障負担額は19年の一人当たり社会保障負担額の1.35倍となる。

 つまり、45年時点の現役世代は、45年時点の社会保障負担総額を19年時点の水準に据え置いたとしても、少子化の進行により、一人当たり35%増加し、236万円となることに注意が必要だ。しかも、この上にさらに、先に見た高齢化による社会保障給付総額の自然増は、当然、その時の現役世代が負担しなければならない。


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