そして、米国の納税者は、民主制度の下に、米国がいかなる軍事力を必要とするかについて、常に知らされていなければならないと結んでいる、と報告書の内容を紹介しています。
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中国の軍事力に関する国防総省の新たな報告書を紹介した論説で、この論文の行間を読めば、中国の軍事力がここまで増大しているという事実を米国の納税者は知るべきであり、それへの対策を真剣に考慮すべきだと述べ、暗に米国防費の充実を訴えている論文であると言えましょう。
米国の対中国政策、ひいては、極東の軍事態勢の将来には、多くの危惧が抱かれています。特にオバマ第2期政権が、クリントンが敷いたアジア回帰路線を当初の意図通り実施する意思があるかどうか、国防費の削減が東アジアの米軍事態勢に悪影響を与えないかなどの危惧が抱かれています。
このような状況下で、今後とも若干憂慮されるような事態があるかもしれませんが、中国の勃興は21世紀の中心的課題であり、これに対しては、日米同盟の総合的な力を強化して対処するのが王道であるという、国際政治の基本的構造は変わりようもないと思っています。
したがって、今後とも傍から見てハラハラするような対中宥和策の試みもあるでしょうし、米軍事費の危機的な削減もあり得るとしても、いずれ、東アジアの国際政治の実態は、王道への回帰を余儀なくさせると思っています。また、中国の軍事力と日米同盟の合同の力との格差において、まだまだ、その程度の試行錯誤は許せる余裕はあると思っています。
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