2024年11月22日(金)

2024年米大統領選挙への道

2023年1月10日

超党派のバイデン

 バイデン大統領は1月4日、共和党上院トップのミッチ・マコネル院内総務と一緒に、彼の地元南部ケンタッキー州で、同州と中西部オハイオ州を結ぶ老朽化した橋の修復と、新しい橋の建設プロジェクトを祝うイベントで演説を行った。ホワイトハウスのカリーン・ジャンピエール報道官によれば、昨年、超党派で成立した1兆ドル(約132 兆円)規模のインフラ投資法案により、ケンタッキー州コビントンのブレントスペンス橋並びに全国の他の経済的に重要な橋を対象に、20億ドル(約2650億円)以上が投じられる。

 ケンタッキー州のアンディ・ベシア知事、オハイオ州のマイク・デワイン知事(共に共和党)およびシェロッド・ブラウン上院議員(民主党)等も、イベントにかけつけた。バイデン大統領は演説で、米国民に「党派を超えて仕事をしている」というメッセージを発信した。下院議長選出の過程において、分裂と混乱のメッセージを送ってしまった共和党下院とは、極めて対照的であった。

 バイデン大統領は上院議員を36年間務め、マコネル院内総務と1985年~2009年までの24年間、一緒に仕事をしてきた。23年のバイデン氏は、保守強硬派のMAGA系議員の発言力が増すと予想される共和党下院よりも、トランプ氏と距離を置く上院のマコネル院内総務との協力関係の構築を選択するだろう。

 そしてバイデン大統領は、「自分は超党派で米国が直面している問題に取り組んでいる大統領であり、問題解決を阻止しているのは共和党下院である」という印象を、無党派層に与える戦略に出ると思われる。保守強硬派のMAGA系議員の影響力が大きくなれば、24年米大統領選挙で無党派層が、共和党から逃げるのは確実だ。

 バイデン大統領は、まだ24年米大統領選挙に出馬表明を行っていないが、上記の戦略を、選挙戦を有利に進めるための戦略の1つとして考えているのではないだろうか。

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