2024年7月22日(月)

都市vs地方 

2023年1月27日

 ここでは、都道府県別に詳細なデータが公表されている20年のケースについて保護率を示している。図2を見ると、全国平均が2.94%であるのに対し、都道府県で高低のばらつきがあることが分かる。

(出所)厚生労働省「被保護者調査」(令和2年)より作成。保護率=保護世帯数/地域全世帯数。都道府県内で別掲の政令市、中核市を統合したのデータ(以下全て同じ)。保護世帯数は月次データの累積世帯数を12で除したもの。地域全世帯数は2020年「国勢調査」の一般世帯数。 写真を拡大

 全国平均を上回って目に付くのが、北海道、青森県、大阪府、高知県、福岡県、沖縄県などである。大都市の存在する地域が高いように思われるが、その地域の世帯総数で除した保護率であることから、都市で世帯数が多いという影響は取り除かれている。

 実際に、青森県、高知県、沖縄県など地方の県も含まれているし、東京都は大阪府よりも低い保護率となっている。また、大まかに西日本、九州地区でやや保護率が高めとなっている傾向が見て取れる。逆に、新潟県、富山県、石川県などで保護率が低い傾向となっている。

保護率の背景にあるもの

 図2に示した保護率の差を見て、直ちに生活保護政策に関して地域別の不平等が存在すると結論づけることは早計である。世帯が生活保護の対象となるような状況に直面して、実際に生活保護の支給対象となって受領するまでにはいくつかの段階が存在するからである。

 図3はこのプロセスを図示したものである。まず、世帯が何らかの事情によって、生活保護を必要とする事態に至ったものとする(A→B)。生活保護は、健康保険などと異なり、低所得に至ると直ちに自動的に支給されるわけではない。生活保護の必要性を感じた世帯は、地域の市町村の窓口に生活保護の申請を行うかを決め、実際に申請をすることになる(B→C)。さらに、世帯の財産状況・稼得能力などの調査が行われ、保護対象の世帯として認定されるか否かの決定がなされる(C→D)。そのうえで各世帯に実際の支給がなされることになる。

 図2に示した保護率の値は、図3の最終受給世帯数E/地域の世帯数Aの比率である。図に示す通り、EとAの間には距離があり、また各プロセスに影響を及ぼすファクターも異なっている。

 例えば、ある世帯が低所得に直面するか否か(A→B)は、地域経済や勤務先の状況、加齢や不慮の事故など個人では避けがたい外生的な要因を上げることが出来る。次に、たとえ所得の低下に見舞われたとしても、実際の生活保護を申請するかどうか(B→C)については、個人によって生活のレベルに対する考え方や、行政に頼ることに対する心理的抵抗感によってかなり左右される。

 そして、申請された生活保護は保護のための「基準」に従って審査される。しかし、税金をその財源としているために、機械的にやすやすと認定されるとは限らない(C→D)。これらの幾重にも存在する関門をくぐりぬけてやっと支給が実現することになるのである。


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