2024年12月22日(日)

都市vs地方 

2023年1月27日

 厚生労働省は、先ごろ2022年10月までの生活保護の状況を「被保護者調査(令和4年10月分概数)」として公表した(図1)。

 その結果によれば、生活保護を受給する世帯は、全国で164万4381世帯となり、対前年同月比で2464世帯増加した。この1年間の生活保護世帯の増加率を見ると+0.2%であり、比較的小さな数値に思える。

 しかし、生活保護の「申請」は1万9700件と対前年同月比5.2%の増加となっている。また、新たに生活保護が開始となった世帯数は1万7716世帯となり、対前年同月比6.5%増と低所得者の生活環境は悪化していることがわかる。

 2022年の増加の理由としては、長引くコロナ禍と最近の物価高があげられることは言うまでもない。しかし、生活保護の受給世帯の55.5%は高齢者世帯(そのうちほとんどが単独世帯)であり、高齢者福祉としての側面が大きい。

(relif/gettyimages)

 高齢者福祉のもう一つの柱は年金であるが、年金と生活保護の決定的な違いは、年金は保険料を納付していることが前提となっている社会保険であるのに対して、生活保護は掛金などを必要とせず、税金を原資としていることである。したがって、生活保護を受給するためには、保有している財産や稼得能力などの調査が行われ、審査の上で受給が認められなければならない。このように、生活保護の受給には一定のハードルが存在するが、生存権を守るための「最後の砦」、「セーフティーネット」としての役割が期待されている。

生活保護率の地域比較

 生活保護が憲法の保障する「生存権」のために存在するとすれば、生活保護の適用は地域によって恣意的な違いがなく、ある種平等・公平に実施されていなければならない。そこで今回は、コロナ禍・物価高・所得や地域間格差の拡大など、生活保護が関わる社会的課題の観点から、地域別の生活保護の状況について確認することとしたい。

 まずは、地域別の生活保護の状況について、「保護率」の観点からみてみることとする。単に保護世帯数を比較してしまうと、世帯数の多い地域ほど保護世帯数が多くなってしまうため、実質的な比較が出来ない。

 そこで保護世帯数/地域内の全世帯数を保護率として都道府県別に算出した。保護率はその地域の100世帯のうちいくつぐらいの世帯が生活保護の対象となっているかを示すものである。


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