2024年11月22日(金)

バイデンのアメリカ

2023年4月19日

 経済発展のための「素晴らしい諸要素」についても、以下のように説明している:

 「就労者数は1990年当時と比較して、30%以上増加しており、10%程度の増加にとどまっている日欧諸国に大きく水をあけている。就労者全体に占める大学卒、大学院卒業者の割合、労働生産性のいずれにおいても、他国をはるかに上回っている」

 「米国企業のパテント保有数は世界登録件数全体の5分の1を占め、中国、ドイツ両国の総数より多い」

 「企業による研究・開発ランキングにおいても、トップから上位5位までを米国企業が独占し、昨年の投資総額は2000億ドルにも達した。世界中の消費者が、パソコン、アイフォンからAIチャットロボットに至るまで、幾多の分野で米国のイノベーションの恩恵を受けてきた」

 「株投資の面においても、1990年に米国企業S&P500社のいずれかに100ドル投資した人の資産は今日、2000ドルにも達しており、他の富裕国での儲けの4倍にも膨れ上がったことになる」

中国と比べても勝っているのか

 さらに、米国経済成長の「負の側面」として指摘されてきた社会福祉問題については、同誌記事は「セーフティーネットへの支出は他の先進国よりはるかに劣る」とした上で、なお、以下のように述べている:

 「しかしそれでも、経済拡大とともに、欧州型に近づいてきた。就労者、子供を持つ家庭に対する税優遇措置はより寛大なものになりつつあり、低所得者向け医療保険制度は、オバマ政権以来、大幅に拡充されてきた。一定収入以下の所得層のうち公的福祉・生活補助プログラム受益者の割合も1979年当時、全体の3分の1だったが、2019年段階で3分の2にまで改善されてきた。また、こうした福祉政策の拡大により、全体の20%を占める『最貧困層』の実質収入も、1990年以来、74%上昇、すでに英国を上回っている」

 このほか、他の諸国と比べた米国の優位性として、①年齢的に若い就労人口、②今後も続く人口増、③就労人口に占める高い移民比率(17%)、④企業にとって有利な雇用条件、⑤新規ビジネス立ち上げのための好環境、⑥倒産による失業者に対する恵まれた再就職の機会、⑦米企業が持つダイナミズムと柔軟性――なども列挙している。

 しかし、最大の関心事は、今世紀に入り、急ピッチで成長を続け、2030年代にもGDPで米国を追い越すともいわれる中国との比較だ。

 この点について、同誌は、「購買力平価(PPP)」においては、2016年以来、世界経済の18%を占める中国が米国(16%)を上回っているとした上で、以下のように付記している:

 「PPPは異なる経済におけるその国の暮らしぶりを反映したものだが、世界経済の舞台においてモノをいうのは、現時点の為替レートであり、この点で米国の優位性に疑問の余地はない。昨年の米国GDPは世界の25%を占め、シェア率は1990年当時から変わっていない。これに対し、中国GDPは今日、世界の18%にとどまっている。このほか、ニュー・テクノロジーを駆使したビジネス業界における生産性の向上、大学教育ランキングにおいても、上位15位中トップ11校を米国が独占するなど、世界のどの国の追随も許していない」


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